長年愛を育んできた交際相手が浮気ーー。芸能界でも、10年以上交際を続け、結婚秒読みかと思われたカップルの男性側に3股疑惑が浮上するといった例もあるようだが、もし本当であれば、当事者にとっては絶望的な事態だろう。
ネット上には、交際10年目にして浮気をされた人による、憎しみがこもった書き込みが多数投稿されている。
交際10年、同棲1年、数カ月後に結婚する予定だった男性がキャバクラ嬢と浮気をしたというAさん。関係は5カ月前に始まり、キャバクラ嬢はAさんの存在を知らないそうだ。Aさんは浮気発覚後すぐに、同棲していた家を出た。男性からは「向こうとの関係は終わらせた」「(Aさんと)交際を続け結婚したい」と謝罪の連絡が来たが、ショックが大きすぎて気持ちの整理がつかないという。
結婚を前提に長年交際していた相手が浮気をした場合に、慰謝料を請求するなどの法的手段を取れるのだろうか。長瀬佑志弁護士に聞いた。
●「内縁」「婚約」の不当破棄にあたるかがポイント
長年交際をしていた相手に浮気をされ、慰謝料を請求したいという場合にポイントになるのは、「内縁の不当破棄」、もしくは「婚約の不当破棄」に当たるかどうかです。
内縁とは、婚姻の届出がないために正式な夫婦とは認められないものの、当事者の意識や生活実態において事実上夫婦同然の生活をし、社会的にも夫婦同然と認められるような男女関係のことです。内縁関係が成立するためには、男女間に(1)婚姻意思があること、(2)これに基づいた共同生活があること、の2つが必要です。
今回のご相談の場合、Aさんが男性と婚姻する意思をもって共同生活をし、夫婦同然の実態を有していたのであれば、内縁関係が成立していたといえます。浮気は内縁関係を不当に破棄する行為だとして、男性には不法行為責任または債務不履行責任が認められ、慰謝料を請求できるでしょう。
一方、Aさんが男性との間で、結婚することを前提としていなかった場合、上記要件の(1)婚姻意思があることを満たさないため、内縁関係は成立しません。もっとも今回の場合、Aさんは浮気が発覚する前までは、男性と将来結婚することを約束していたということですから、内縁関係が成立しないとしても、「婚約」は成立していたと考えられます。
婚約の不当破棄についても、不法行為責任または債務不履行責任が認められますので、浮気をした男性に対して慰謝料を請求できるでしょう。