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「アフターピル代渡して避妊せず」巨人・坂本選手の中絶報道 NPO「あくまで緊急用」と注意呼びかけ
巨人の坂本勇人選手(AP/アフロ)

「アフターピル代渡して避妊せず」巨人・坂本選手の中絶報道 NPO「あくまで緊急用」と注意呼びかけ

プロ野球巨人のキャプテン坂本勇人選手による中絶トラブル報道が話題となっています。文春オンラインが報じた内容が事実だとすれば、女性に対してアフターピル用として2万~3万円を渡した上で、避妊をせずに行為に及んでいたとされています。

弁護士ドットコムにも「つい盛り上がってしまった。アフターピル代を渡したけど、もし妊娠したら責任を問われますか」などという相談が複数寄せられています。アフターピルは性行為から72時間以内に服用することで約85%の妊娠阻止率が期待できますが、完全ではありません。

そもそも望まない妊娠や性被害などから女性を守るためのものなのに、安易な避妊方法と認識している人も一部にいるようです。海外と同様にアフターピルが薬局などで販売できるよう活動しているNPO法人「ピルコン」の染矢明日香代表は「あくまで緊急用であり、普段の避妊法としては向かないものです」と訴え、正しい知識を持つよう呼びかけます。

●「望まない性行為を強要することは暴力」

薬の添付文書では72時間以内に服用した場合の実際の妊娠率は1.34%で、完全に妊娠を防ぐ効果がないといいます。服用が遅れたり、服用後に避妊のない性行為があると、避妊ができないこともあります。

染矢代表は「いつ妊娠するのか、しないのか、妊娠する人自身が決められることが大切です。避妊に協力しないことや、望まない性行為を強要されることは暴力であるということと、安心・安全な緊急避妊薬のアクセスの保障が広がることを願っています」としています。

●諸外国並みに買いやすく 性教育の啓発も必要

一方で、日本では諸外国と比較して避妊の選択肢が少なく、費用負担も大きいという現状もあります。アフターピルは世界では約90カ国で医師の処方箋なしに薬局で購入できますが、国内では悪用・乱用への懸念などを訴える慎重派も根強く、一般用医薬品(OTC)化は見送られています。

ピルコンでは、新型コロナによる外出自粛の影響で若年層からの妊娠相談が急増し、2020年には産婦人科医らとともに、緊急避妊薬を処方箋がなくても薬局で薬剤師から購入できるよう求める要望書を厚生労働省に提出しました。現在も厚労省で議論が行われていますが、染矢代表は「見通しは立っておらず、先行きは不透明だ」といいます。

厚労省のHPではオンライン診療で処方できる医師も列挙していますが、調剤薬局との連携が進んでおらず、特に日曜・祝日では対応先が限られ7〜8軒あたったという人もいるそうです。

「まさに今、悩んでいる人がいるという当事者の背景を考えてほしい。(事後に服用すればいいなどという)悪用への懸念も、薬が悪いのではなくて性暴力自体が悪いこと。緊急避妊薬は避妊の失敗や性暴力被害にあった場合の重要なバックアップ。まずは薬剤師を介して対面で服用する本人が処方され、地域の産婦人科医や支援先と連携を強化する形での早急なアクセス改善を求めています」

中高生への学校教育にも力を入れているピルコンは、こうしたアクセス改善とともに、幼少期からの包括的性教育や性暴力予防の啓発も強化していくべきとしています。

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