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モラハラ妻に「90日間」無視されて…夫は「まるで透明人間のよう」離婚願望を募らせる日々
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

モラハラ妻に「90日間」無視されて…夫は「まるで透明人間のよう」離婚願望を募らせる日々

「妻(夫)に無視をされていて、辛い」。ネット上に、このような投稿が複数ある。無視されたのは数日間のみで仲直りできた場合もあれば、長期化してしまい離婚を検討している人もいる。

東京都内で勤務する会社員のアリタさん(仮名・40代男性)も離婚を検討している1人。妻に口をきいてもらえず、3カ月以上も無視され続けているという。

●「本人の気が済むまで徹底的に無視される」

アリタさんは専業主婦の妻、10代の子ども2人の4人暮らし。近所にアリタさん夫婦の実家もある。

これまでも夫婦喧嘩が起きるたびに、妻に口をきいてもらえなくなり、無視されるという状況が複数回あった。口をきいてくれない期間は3日のときもあれば、3カ月になることもあった。

「こういうことが起きるたびに、妻には『子どもたちも気にしているので無視するのはやめてほしい、会話をしないか』と伝えてきました。それでも改善されることはなく、本人の気が済むまでは徹底的に無視されます。ある日突然口をきいてくれるようになりますが、その日がいつ来るのかも分かりません」(アリタさん)

今回も些細な夫婦喧嘩から、妻による「無視」が始まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響でアリタさんが在宅勤務を始めてからも「無視」は続いた。「地獄のような日々でしたよ」とアリタさんは振り返る。

「同じ家にいるのに、まるで『透明人間』のように扱われました。

妻は子どもが家にいる間は全員分の食事を用意してくれましたが、夫婦2人のときは私の分はありませんでした。洗濯カゴに洗濯ものを入れると私の分のみ除外されたので、私の分の洗濯は夜間または土日に自分でおこなっていました。

何を話しかけても無視されるのでLINEをしてみたところ、既読スルーされました」

●妻の行為は「モラハラ」にあたる?

「無視される側」にもなんらかの原因があるというケースもあるだろう。ネット上でも、夫を無視したことがあるという妻が「共働きなのに、何度言っても夫は育児も家事も何もしてくれない。もはや話をすることも面倒になった」と書き込んでいる。

アリタさんは「自分にも原因はあるかもしれません。でもいつまでも口をきいてくれなければ話し合って歩み寄ることもできません。子どもたちから『お母さんはお父さんが嫌いなんだって』と聞かされたこともあり、夫婦でいる意味が分からなくなりました」と話す。

このような妻の行為は「モラハラ」にあたるのだろうか。

長瀬佑志弁護士は「モラハラとは、モラルハラスメントの略で、倫理や道徳に反した嫌がらせのことをいい、言葉や言動で精神的に相手を傷つけることを指します」と説明する。具体的には、以下のような言動が挙げられるという。

・暴言を吐く
・相手を貶める、相手を認めない
・自分の間違いを認めない
・異常に束縛する
・子どもに相手の悪口を吹き込む
・無視する

アリタさんの妻については、どのように考えられるのだろうか。長瀬弁護士は、つぎのように指摘する。

「今回のケースでは、妻がアリタさんを『透明人間』のように扱い、無視したり、洗濯などの家事もしなかったりするということですから、モラハラにあたるといえます。なお、パートナーを無視することは、モラハラだけでなく、精神的DVにもあたります 」

●無視する妻と離婚するためにはどうすればいい?

アリタさんは妻との離婚を検討している。このように、妻から無視されることを理由に離婚したい場合は、どうすればよいのだろうか。長瀬弁護士は、次のように説明する。

「話し合いで離婚が決まらない限り、裁判で離婚しなければなりませんが、その場合には法定離婚事由が必要になります(民法770条)。モラハラの場合には『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』(同条1項5号)に該当するかどうかが問題となります。

この点、アリタさんが妻から長期間無視されていたという事実は、法定離婚事由が認められうる事情といえます。ただし、夫婦関係が破綻したといえる客観的な事情として、別居の事実や別居の期間も重視される傾向にあることには留意が必要です。

なお、妻に無視された事実を証明することは、大声で怒鳴られるなどのケースとは異なり、録音で証拠を残すことは難しいといえます。そのため、モラハラの中でも『パートナーから無視された』という場合は、立証に工夫が必要になります。

妻から長期間にわたって無視されたことの証拠としては、アリタさん自身が日記等で日々の出来事を記録に残す、メールやLINEを送っても返信がないことが分かる履歴を残す、妻の無視を原因として精神的苦痛を受けたことで心療内科等を受診したことがわかる診断書や処方箋を保管する、などが考えられるでしょう」

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この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

長瀬 佑志
長瀬 佑志(ながせ ゆうし)弁護士 弁護士法人長瀬総合法律事務所
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか

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