もはや、その存在は一部で忘れ去られているのかもしれない。
あるファミレスチェーンの会計で、二千円札を出したところ、店員が「こんなバレバレな偽札!使えると思っているのですか!?」と言い放ち、二千円札での支払いを拒否したーー。こんなツイート内容が先日話題になった。
●流通数は1億枚を切っている
二千円札は、西暦2000年を記念して、発行された紙幣だ。おもてには、首里城(沖縄県那覇市)の守礼門、うらには「源氏物語絵巻」の図柄がはいっている。もちろん、現在も有効に使うことができる。ただ、レア物となりつつあることは事実だ。
日本銀行はホームページ上で、二千円札の流通促進によって「利便性は一層向上する」と主張しているが、流通しているのは1964億円・9820万枚(2019年6月末)で、ピーク時の5分の1の枚数になっているという。
ファミレス店員が「バレバレな偽札」と言ってしまうのも無理もない。すっかりその存在を忘れてしまって、勘違いした可能性が高いからだ。ただ、本物かどうかをしっかり確認せずに、公の場で、客に向かって「偽札だ!」と言うと、名誉毀損が成立するおそれがある。
二千円札うら(弁護士ドットコム撮影/すかし部分の「見本」は編集部によるもの)
●「日本銀行券は、法貨として無制限に通用する」
また、法律上、「日本銀行券は、法貨として無制限に通用する」(日本銀行法46条2項)とされており、二千円札で支払った場合、相手はその受け取りを拒否することができない(強制通用力・罰則なし)。単に、「二千円札をもらいたくない」という理由は通じないようだ。
なお、日本銀行のホームページには、現在有効に使える紙幣のリストや、二千円札の流通促進に向けた取り組みが載っている。守礼門(1527年〜1555年の間に創建)や「源氏物語絵巻」(12世紀ごろ)の時代に思いを馳せながら、たまに二千円札の存在を思い出すのも悪くないかもしれない。