息子が女子小学生になりすまして、冷やかし目的で、援助交際を持ちかける内容のメールを複数の男性に送っていますが、犯罪になるでしょうかーー。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者によると、相談者の息子は架空の女性の名前を使い、「小学3年生です。メールしてください」などといくつかのネット掲示板に書き込んでいます。内容は、性的な関係に興味を示し、援助交際を求めるようなものになっているそうです。
男性とメールのやりとりをした上で会う約束をしても、実際には会いに行かず、冷やかすことが目的とも。相談者は、息子の行為が犯罪になってしまうのか、逮捕されるのかといったことを心配しています。どのようなことが考えられるか、小野智彦弁護士に聞きました。
●不法行為として民事責任問われる可能性
ーー「息子」が14歳以上の未成年であるとしたら、なりすまし行為は、どのような犯罪に触れる可能性があると考えられますか
「なりすましそのものによって犯罪になる可能性のあるものとしては、名誉毀損、業務妨害、不正アクセス禁止法違反などが考えられますが、本件の場合は架空の人間の名前を使っていて、なりすまされる方の被害者がいないため、これらの犯罪は成立しません。
単純に個人的な趣味からの冷やかしの場合でも、ネット掲示板側から報酬を得て行うサクラの場合でも、ただなりすますだけであれば、犯罪は成立しません」
ーーそれでは、例えば男性側が料金を支払ってメールをしていた場合に、その損害賠償請求や慰謝料請求は受けると考えられますか
「男性側が、メールの送信者が女子小学生であることを目的として料金を支払っていた場合には、詐欺ということになりますので、取り消しの上払った料金を返してもらうか、不法行為ということで損害賠償請求や慰謝料の請求ができることになります」
ーー年齢が低いなどの理由で息子の法的責任が問えない場合、保護者はどのような責任を負うことが考えられますか
「息子さんのなりすましの行為が不法行為を構成するような場合には、保護者が監督義務者として責任を負うことになります。ただなりすましただけであれば、息子さんの行為は不法行為を構成しませんので、保護者が監督義務者として責任を負うことはありません」