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不適切融資で大炎上のスルガ銀行を斬る「日弁連方式」の第三者委員会とは
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不適切融資で大炎上のスルガ銀行を斬る「日弁連方式」の第三者委員会とは

「かぼちゃの馬車」など不動産への不適切融資が指摘されるスルガ銀行は、創業家出身の会長をはじめ、社長・専務もそろって引責辞任が避けられない情勢だと報じられている。一連の問題を調べる第三者委員会は9月7日に報告書を公表する見通しだが、そのタイミングは「日弁連方式」に従い、スルガ銀行に開示するのと同時になるという。日弁連方式とはいったい、どういうことなのか。

●企業側に事前漏洩は「一切なし」

日弁連方式とは、日本弁護士連合会が2010年に示した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に即した第三者委員会の運営のこと。企業からの独立性が強く意識され、調査報告書の事前開示は一切せず、企業の現在の経営陣に不利な内容も報告書に記載することなどが指針とされている。

第三者委員会によっては、報道発表する前に報告書のドラフトを企業側にこっそり示し、企業は報道機関からの追及に備えてQ&Aを作ったり、企業としての再発防止策を練ったりすることがある。ただ、日弁連方式なら、そうした備えをすることは事実上難しい。第三者委としても、企業側の横やりを気にせず、調査に集中できる。

スルガ銀行を調べるにあたっては「日弁連方式」とするのが大前提だったという。第三者委の中村直人委員長(弁護士)はスルガ銀行の米山明広社長に対し、「これだけ世間の耳目を集めている問題で、厳正中立にやらないと信頼回復しないし意味がない。日弁連方式でよろしいのか」と言ったことを、弁護士ドットコムニュースの6月の取材に明かしていた。

●第三者委、日大アメフト・体操協会・ボクシング連盟でも

「第三者委員会」という言葉は、ここのところニュースで頻出している。

日弁連方式かどうかは不明だが、8月には不正疑惑に揺れる日本ボクシング連盟をはじめ、パワハラの告発を受け日本体操協会も第三者委員会の設置を決めたと伝えられた。障害者雇用が水増しされていた問題でも、厚生労働省が第三者委員会を設けて再発防止策をまとめる方針だと報じられている。日大アメフト部の悪質タックル問題でも設置された。

第三者委員会は、検証を求める企業や行政機関などの姿勢にも左右されうる。そのため、甘い追及に終わって「馴れ合い批判」にさらされる可能性とは隣り合わせだ。日弁連のガイドラインは「依頼企業等からの独立性を貫き断固たる姿勢をもって厳正な調査を実施するための『盾』として、本ガイドラインが活用されることが望まれる」と指摘している。

<第三者委員会とは>多くの場合、不祥事を起こした企業や行政機関からの要請で、弁護士資格をもつ人を中心にメンバーが構成され、関係者へのヒアリングを行ったり関係資料を精査したりして「何があったのか」「何が問題だったのか」などを認定してまとめ、一定期間後に公表する。

(弁護士ドットコムニュース)

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