万が一の事故や後続車の煽り運転、車上荒らしなどに備えてドライブレコーダーを搭載する車は増えているようだ。そうしたなか、弁護士ドットコムの法律相談コーナーには「予期せぬ光景」が映り込む可能性を危惧する声が寄せられた。
相談は、「パチンコ屋の駐車場で時々、高校生が性行為をしているが、意図せず映り込んでしてしまった場合に盗撮や児童ポルノ製造などで逮捕される可能性はあるか」という内容だ。相談者は事故に備えて取り付けようと思っているという。
実際に映り込んでしまった場合、検挙される恐れはあるのか。わいせつ事件に詳しい奥村徹弁護士に聞いた。
●映り込みは破棄するのが「無難」
ーー罪に問われる恐れはありますか
「客観面では、迷惑条例違反(盗撮)や、児童ポルノ製造罪(児童ポルノ法7条5項)に該当する恐れがあります。
ただ、防犯上の理由で常時作動させているドライブレコーダーに映り込んでいただけだということであれば、通常は、故意がないので、撮影行為が罪に問われることはありません。児童の性行為を予想して作動させていた場合には前記の罪に問われることがありえます」
ーー撮影されていることに後で気付いた場合はどうしたらいいでしょうか
「後日画像を確認して、児童の性行為が撮影されていることに気付いた場合には、児童ポルノ法2条3項各号の要件で、児童ポルノとなることがあります。提供や公然陳列は処罰されるのはもちろんのこと、正当理由がなければ所持が禁止されていますので(3条の2)、破棄する必要があります。
特に、3項1号の性交・性交類似行為の姿態については、見た感じ着衣の児童であっても、一般人が性欲を興奮させるようなものでなくても児童ポルノに該当しますので注意してください。
他方、同条2号3号の場合は『性欲刺激要件』(2号3号)や『露出・強調要件』(3号)があって、画角の一部に映り込んでいたとか、短時間とか不鮮明とかいう場合には児童ポルノに該当しないこともありえます」