2014年に起きたベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件をめぐり、個人情報の漏えいによる損害賠償が認められるかが争われた訴訟の上告審判決が10月23日にあった。
最高裁第二小法廷は、「個人情報を漏えいされて不快感や不安を抱いただけでは、直ちに損害賠償を求めることは出来ない」とした二審判決について、「審理を尽くさなかった違法があるといわざるをえない」と破棄。審理を大阪高裁に差し戻した。
訴えを起こした顧客の男性は、男性の氏名、郵便番号、住所、電話番号とその子ども(10歳未満)の氏名、性別、生年月日の個人情報が漏れたとして、ベネッセ側に10万円の損害賠償を求めていた。
ベネッセは情報漏えいした顧客にお詫びの金券500円の支払いをすでに行ったが、現在被害者の会などによる1万数千人規模の集団訴訟も行われている。大阪高裁で損害賠償が認められれば、他の訴訟にも影響を及ぼす可能性がある。
最高裁の判例は、氏名や住所、電話番号などの個人情報をプライバシーに係る情報として法的保護の対象としており、第二小法廷は、「原審の判断は、不法行為における損害に関する法令の解釈適用を誤った結果、プライバシーの侵害による精神的損害の有無やその程度について十分審理を尽くさなかった違法がある」と判断した。