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風俗を辞めたのに「顔写真」がサイトに残ったまま――店に削除の義務はないの?
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風俗を辞めたのに「顔写真」がサイトに残ったまま――店に削除の義務はないの?

風俗の仕事を辞めると店に言ったのに、ホームページに掲載された顔写真がそのままになっている――。このような事例が、風俗で働いていた女性の友人から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿された。

投稿によると、その店には「辞める1ヶ月前にはその旨を店側に告げて、期間内はきちんと働くこと」というルールがあった。しかし、そのルールを守らず、一方的に「Twitterのダイレクトメールで辞めると伝え、そのままバックれてしまった」という。

今でも店のホームページには顔写真が掲載されており、むしろモザイクが薄くなってしまったそうだ。身勝手な退職だったとはいえ、辞めることを伝えたのであれば、店には顔写真を消す義務がないのだろうか。高橋建嗣弁護士に聞いた。

●退職後の掲載は「肖像権侵害」の可能性

「まず、すべての人には、みだりにその容貌等の写真を撮られ、みだりに公表されないという権利が認められています。『肖像権』ですね。したがって、勝手に(1)誰かの写真を撮ったり、(2)撮った写真を公表したり利用したりすることはできず、これをした場合は問題が生じます。

個人の私生活上の自由を守るために、肖像権があると考えられています。このため、モザイクやぼかしによって、写真の被写体が誰であるか特定できない場合は、肖像権侵害は生じない、と解する余地もあります」

では、今回のケースは、(1)(2)に該当するような問題はあるだろうか。

「ご当人は、風俗店で働き始める時点で写真の撮影自体は承諾していたと思われます。ですから、(1)については問題なかったでしょう。しかし、ホームページに顔写真を載せることはまさに公表・利用と言えます。これは、ご本人の承諾なしの場合は、肖像権侵害の問題となります」

顔写真の掲載を承諾していたとしても、常識的に考えて、退職後までは含まないはずだ。

「そうですね。退職後の掲載まで承諾していたとは通常考えられません。退職後、ご本人が掲載を望まなければ、肖像権侵害が問題となります。ですから、店としては問題の顔写真を削除すべきです。

モザイクが施されている点についても、モザイクが薄くなって誰の写真か分かってしまうようであれば、肖像権侵害があることは明らかと言えます」

高橋弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

高橋 建嗣
高橋 建嗣(たかはし けんじ)弁護士 池袋グローバル法律事務所
相続や離婚、交通事故といった一般的な事件から、知財、渉外、インターネット関係といった特殊な分野まで、幅広く対応させて頂いております。事務所に来られない遠距離の方のご相談、ご依頼も承っております。

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