チャイルドシート「誤った設置」が6割…事故が起きた場合、責任問題はどうなる?
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チャイルドシート「誤った設置」が6割…事故が起きた場合、責任問題はどうなる?

警察庁とJAF(日本自動車連盟)が「2016年 チャイルドシート着座状況調査 」を公表し、その中で、チャイルドシートの約6割が誤って取り付けられているという結果が注目を集めた。

調査は、JAFが2016年11月3日から15日にかけて、全国16の商業施設や動物園などの駐車場で実施した。425のチャイルドシートの装着状況を調べたところ、乳児用・幼児用合わせて258シート(60.7%)で誤った方法で取り付けられていた。

誤った方法の具体的項目をみると、「腰ベルトの締め付け不足」がもっとも多く、乳児用で68.6%、幼児用で73.8%が当てはまった。他には、「座席ベルトの通し方の間違い」が乳児用で13.5%、幼児用で13.8%。この他にも、固定金具の不備・誤使用、車両シートにチャイルドシートに置いただけというケースもあった。

また、チャイルドシートへの座らせ方も、6歳未満の子ども629名を対象に調べたところ、260名(41.4%)が誤っていた。背もたれの角度が不適切だったり、体格があっていないシートに座らせていたりする例が見られた。

警察庁の調査では、チャイルドシート適切に着用していないと、事故にあった際に死亡する確率が飛躍的に高まると注意を呼びかけている。もし、チャイルドシートを誤った取り付け方をしたまま事故に遭い、子どもがケガをしたり、死亡する事態になったりした場合、事故の法的責任にどのように影響するのか。交通事故の問題に詳しい木野達夫弁護士に聞いた。

●「装着していなかった場合」は、過失相殺を認める裁判例が相当数ある

「チャイルドシートは1999年の道路交通法改正(2000年4月1日施行)により装着が義務づけられました。

その後に発生した交通事故で、チャイルドシートを装着していなかったことを理由とする過失相殺が問題となった裁判例が相当数あります。

過失相殺を肯定した裁判例では、おおむね5%〜10%程度の過失相殺が行われています」

木野弁護士はこのように指摘する。過失相殺とは、被害者にも過失があった場合、裁判所が被害者の過失の割合に応じて損害賠償額を減額する仕組みのことだ。チャイルドシートが装着されていない場合は、問答無用で過失相殺の対象になるのか。

「いえ、過失相殺が認められるためには、チャイルドシートを装着していなかったことと損害が発生したこと(または損害が拡大したこと)との間に因果関係があることが必要です。

たとえば、『チャイルドシートを装着していなかったからフロントガラスに頭部をぶつけて大けがになったのであろう。仮に、チャイルドシートを装着していればフロントガラスに頭部をぶつけることは無く、それほどの大けがにはならなかったであろう』といえるような関係が必要です。

因果関係が認められないことを理由として、過失相殺を否定した裁判例も相当数あります」

●因果関係を認定することが難しい

今回の調査結果で明らかになったのは、チャイルドシートは装着されているけれども、適切に設置されていないというケースだ。こうした場合も同様に過失相殺の対象になるのか。

「調べた限りでは、チャイルドシートが適切に装着されていなかったことを理由に過失相殺を認めた裁判例は見当たりませんでした。しかし、理論的には、一定の過失割合を認めることは可能と思われます。

もっとも、『適切に設置されていなかった』ことと、『損害が発生したこと(または損害が拡大したこと)』との間の因果関係が肯定されるケースは少ないのではないでしょうか。

たとえば、事故によってチャイルドシートが座席から外れて大けがをしたようなケースを考えてみましょう。

この場合、チャイルドシートが適切に設置されていなかったから外れたのか、それとも事故の衝撃が大きかったために外れた(適切に設置していたとしても外れた)のかを判断することは容易ではないでしょう。

そうしますと、理論上は過失相殺の可能性があるとしても、実際の裁判で過失相殺が行われることは稀ではないかと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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