デーモン閣下が構成員を務める厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の第4回会合が12月6日、東京・霞が関の厚労省であった。懇談会として発信するメッセージ案を事務局の厚労省が示し、デーモン閣下は「言葉が難しい。一般の人に読まれないと意味がない」と苦言を呈した。
●医療情報まとめサイトに国が「お墨付き」も
厚労省はまず、これまでの議論を踏まえ、社会に発信する「懇談会からの提案」と「5つのポイント」を構成員に提案した。大きくは、国民が病院にかかりにくくなる「受診抑制」ではなく、むやみに何でも医師を頼らない「賢い選択」をしてほしい、という趣旨だ。
「懇談会からの提案」で厚労省は、医師の負担を軽減することで患者に対するケアの質と量が高まることや、「困ったらすぐ病院に行って医師に任せっきり」ではなく、心身の状況に応じて適切な時期と病院を自ら選ぶというかかり方に変える必要があることを説明した。
また、「何でも医師頼み」ではなく、日頃の体調管理は看護師に、薬のことは薬剤師に聞くなど他職種の専門性をいかす余地が大きいと指摘。医療現場が疲弊している状況を描いた動画をYouTubeなどにアップしたり、信頼できる医療情報のまとめサイトに国がお墨付きを与えたりすることも提案された。
●「弱者もいる」みんなが賢くはなれない
続いて、「5つのポイント」では次の事項が列挙された。
(1)病気やケガはまず#8000(子ども)や#7119(救急)へ電話を(2)医師と話すときは聞きたいことを紙に書き出して整理し、ためらわないで聞きましょう(3)薬の事で質問があればまず薬剤師に相談しましょう(4)抗生物質は風邪には効きません(5)慢性症状があれば日中にかかりつけ医を受診しましょう
厚労省によるこうした提案に対し、構成員からは異論が相次いだ。患者と医師の意思疎通を病院で支援するNPO理事長の豊田郁子さんは「弱者もいる。全部ひと括りで賢くなりなさいというのは、上から目線ではないか」と懸念を示した。
デーモン閣下は「言葉が難しい。インテリジェンスが詰まっているんだけど、一般の人に読まれないと意味がないし、これを作っても読まれないというのはもったいない」。宮崎県延岡市健康福祉部の吉田昌史総括主任は「行政は正しいことを伝えようと、かたくなってしまう」と話した。
●危機感がわかるイラスト活用も一手
多くの人に認識してもらい、自分にも影響することだと受け止めてもらうためには、医療現場が危機に瀕していることを懇談会としてまとめるペーパーにイラストで盛り込んだ方がいいとの意見も出た。
ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は「まずは危機感の共有がファーストステップ。ものすごい疲れた医師とか、危機的な状況がわかるイラストを出したほうがいい」と述べた。
意見は尽きず、予定時間をオーバーしてこの日の懇談会は終了した。次回の懇談会は12月17日に開かれる。