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忘年会で「多めに集金」は詐欺の恐れ 幹事が気をつけるべきポイントは
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

忘年会で「多めに集金」は詐欺の恐れ 幹事が気をつけるべきポイントは

飲み会が増える年末年始に向け、幹事に任命されて苦労している方もいるかもしれません。弁護士ドットコムには、会費の徴収に関して幹事から相談が寄せられています。

数十人規模の飲み会の幹事となった相談者。参加者から多めに集金をして、差額は「幹事たちで内緒で山分けしよう」と誘われたそうです。

これは詐欺ではないか、と考えた相談者の方は、幹事を断ろうと考えているそうですが、他の幹事たちの思惑を知ってしまった以上、「止めなければ、共犯になってしまいませんか?」と不安げな様子でした。

では、幹事が利益を得る目的で、参加者から実際よりも多くの金額を徴収することは、詐欺に当たるのでしょうか。また、事情を知った相談者の方が他の幹事を止めなかった場合、共犯として罪になってしまうのでしょうか。呉裕麻弁護士に聞きました。

●「詐欺罪」が成立するおそれ

ーーもしこの相談者が、他の幹事と結託して実行したら、何らかの罪、法的な責任を問われるのでしょうか

「当初から実際の会費を偽り、差額を得る目的で、実額を上回る金額を会費として徴収するとなれば、その時点で詐欺罪(刑法246条)が成立します。幹事複数名でこのことを共謀し、実行したのであれば詐欺の共犯となることも明らかです。

また民事上も、本来得てはならない利益を得たことになるので不当利得(民法703条)に該当します」

ーー幹事をやめておけば問題ないのですね

「このような共謀を知ったために、会費徴収前に幹事を外れていれば、その後、詐欺の共犯として責任を問われることはありません。

理屈上は、詐欺の実行計画を知りつつ、その後、積極的にこれを阻止しなかったという不作為をもって『不作為による幇助(手助け)』が成立しないかも検討の余地があります。しかし、詐欺の実行計画を知った上で幹事から外れた人にかかる意味での幇助が成立するとまでは考え難いです」

●お釣りを返さなければ「横領」の可能性も

ーー今回の事例とは異なりますが、幹事がこっそり多めにもらっていることは、よくある話ではないでしょうか

「忘年会の開催にあたり、参加者のうちの一部が幹事となってお店の手配を担当し、当日の会費を徴収し、支払いをすることはままあることです。その際、徴収した会費と、お店への支払い額との間に差額があり、会費が余ることもあるでしょう。

その場合、通常は、余った会費は参加者に返金するなどして処理すると思います。しかし、参加者の了解もなくそうしなかった場合には本来返金すべき釣り銭を横領したとして責任が問われることもあり得ます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

呉 裕麻
呉 裕麻(おー ゆうま)弁護士 弁護士法人岡山中庄架け橋法律事務所
1979年東京生まれ。韓国籍。2006年に司法試験合格。岡山合同法律事務所に所属後、2013年に現事務所開設。人権問題、交通事故、男女トラブル、インターネット問題、企業法務等、幅広く活動中。

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