2015年11月に行われたミャンマーの総選挙に、変わった経歴の候補者がいることを知った。彼の名前はモー・ミン・ウー。ミャンマーの元俳優にして元難民だという。生まれはミャンマーだが、政治難民として日本に暮らし、中学入学から大学卒業までの16年間を日本で過ごしたという。めずらしい経歴に興味を持った私は、ビデオカメラを持って彼の選挙戦を追いかけることにした。(岸田浩和)
日本帰りの元俳優というだけあって、都会的で洗練された印象のモーさんのことだから、都心部の選挙区で戦うものだと思っていたら、とんでもない山間部の小さな町から出馬するという。さらに、耳にしたことのない新興政党からの出馬だと聞き、耳を疑った。
ゆかりのない山間部に拠点を移し、国民的な人気を誇る、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLDからの出馬を選ばなかったことには、何か理由があるに違いない。疑問を直接確かめるため、ヤンゴンから車で18時間、セドウタヤというマグウェ県の田舎町を目指した。
半世紀にも及んだ軍事政権による統治からの脱却という歴史的な節目を迎えたミャンマーの総選挙。この地の辺境から「民主主義と自由」の先にあるモノを訴えたモー・ミン・ウー候補者の肉声を映像で紹介したい。