「放置自転車です。ご自由にお持ち帰りください」こんな張り紙はアリなのか?

「放置自転車です。ご自由にお持ち帰りください」こんな張り紙はアリなのか?
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2015年04月23日 09時33分
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「衝撃的な張り紙だ」。こんな驚きの言葉とともに、ツイッターに、一枚の張り紙の写真が投稿された。そこには、「放置自転車です。ご自由にお持ち帰りください」と書いてあった。場所は、地方都市の駅前にある複合商業ビルの敷地内だ。

このツイートに対しては、「気持ちはわかる」と放置自転車に悩むビル側の対応に理解を示す声もあったが、「これって法律的にはセーフなの?」「民間が所有物を無許可で処理するのっていいのか」と、疑問の声も多く寄せられていた。

この紙を掲示しているビルの担当者に取材したところ、「放置自転車が多いので注意喚起のために出した。実際に持っていくことは想定していない」「張り紙のおかげで、放置自転車が減った」と話していた。

一般的な話として、自分の敷地内に自転車を放置された場合、「自由にお持ち帰りください」などの張り紙を掲示しても問題ないのだろうか。また、実行した場合はどうなるのだろうか。大村真司弁護士に聞いた。

●無断駐輪されても、勝手に処分できない

「ひとくちに『放置自転車』といっても、所有権が放棄された自転車のケースと、所有権は放棄されておらず、無断駐輪を繰り返しているケースで、扱いが違います。

ただ、『自転車の所有権が放棄されている』と確認できるケースはほとんどないでしょうから、基本的には後者の場合を想定したほうが良いでしょう」

大村弁護士はこのように説明する。自転車の所有権が放棄されていない場合、どうなるのだろうか。

「張り紙をした土地所有者側に自転車の所有権がないのであれば、その自転車を勝手に『処分』する権限はありません。つまり、勝手に自転車を『持ち帰ってよい』と許可することはできません」

やはり法的に問題があるということだろうか。

「犯罪とまで言えるかというと、それは難しいかもしれません。

張り紙をしただけで、自転車を持っていったわけでも、捨てたわけでもありません。窃盗や占有離脱物横領、器物損壊とはいいづらいように思います」

●張り紙をした土地所有者に「教唆犯」が成立する可能性も

実際に持っていってしまう人がいたら、どうなるのだろう。

「『放置自転車です。ご自由にお持ち帰りください』という張り紙をみて、実際に持っていった人は、占有離脱物横領に該当する可能性が高いと思います。

実際の所有者ではなく、自転車の処分権限がない人が張り紙をしていることは明らかですからね。

この場合は、張り紙をした土地所有者にも、犯罪行為をそそのかしたとして『教唆犯』が成立する可能性があると思います。

実際に持って行かれた場合、民事の問題としては、土地所有者に対する損害賠償請求が認められる可能性が高いと思います。

その意味でも、この張り紙はリスクのある行為といわざるをえないでしょう。決してお勧めできません」

では、無断駐輪をされても、泣き寝入りするしかないのだろうか。

「そうではありません。ビルの施設を利用しないのに、悪質な無断駐輪の繰り返し受けているようなケースでは、土地所有権の侵害として、土地所有者は自転車の持ち主に対して損害賠償を請求することが考えられます」

大村弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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取材協力弁護士

大村 真司弁護士

大村 真司(おおむら・しんじ)弁護士

広島弁護士会所属。日弁連消費者問題対策委員会副委員長、広島弁護士会 非弁・業務広告調査委員会委員長、消費者委員会委員、国際交流委員会副委員長、子どもの権利委員会委員

事務所名:大村法律事務所

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