「この法律で通されてしまうと、巌も処刑されてしまっていた」
裁判をやり直す「再審」制度の法改正をめぐり、再審無罪となった袴田巌さんの姉・ひで子さん(93)が6月9日、衆議院法務委員会に参考人として出席し、現在審議されている法案への懸念を示した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●「証拠は全部出して裁判をするのがフェア」
現在の法案については、証拠の全面開示を義務付ける規定がないことや、開示された証拠を支援者や報道機関に見せることを制限していることなどから、「冤罪被害者を救えない」と批判されている。
ひで子さんは、この法案について「抜け道を作っている」と指摘。「いい証拠も悪い証拠も全部出して、それで裁判をするっていうのがフェアではないかと思っております」とうったえた。
●近くの死刑囚の刑執行で「巌の様子がおかしくなった」
ひで子さんによると、弟の巌さんが死刑囚として拘置所に収容されていた当時、近くの部屋の死刑囚の刑が執行されたことを知ってから、様子に異変が現れ始めたという。
「電気を出す奴がいるって言うんです。もうその辺から神経が参ってしまって、だんだん様子がおかしくなり、面会拒否が始まりました」
ひで子さんは、別で起きていた再審請求事件が無事に認められたら、次は巌さんの順番が来ると伝えて、なんとか希望をつなぎ止めようとしたが、「生きてるのか死んでるのかわからなかった」という。
「それ以来、妄想の世界に入っております」
ひで子さんは、再審で無罪となっても、失われた人生を取り戻すことができない現実を語った。
●「助けていただくのは国会議員しかいない」
ひで子さんは、再審で新たに開示された証拠が支援者や報道機関にも共有されていたことで、無罪につながるみそ漬け実験ができ、社会に関心を持ってもらえたとし、法案に盛り込まれている「証拠の目的外使用の禁止」を「なくしてほしい」と強く求めた。
そして、多くの国会議員を前に次のようにうったえた。
「巌はたまたま奇跡が起きたようなものでございます。それで助かりました。この法律で通されてしまうと、巌も助からず、処刑されてしまっていたと思います。 私は、無実の人間が処刑されているということは実際にあると思っているんです。 ですから、そういうことのないように、ぜひよろしくお願い申し上げます。助けていただくのは国会議員しかいません」