5月31日をもって活動を終了したアイドルグループ「嵐」のファンクラブをめぐり、あるSNS投稿が話題を呼びました。
すでに削除されたようですが、6月に投稿された内容によると、投稿者の配偶者名義で家族がファンクラブに勝手に登録し、その状態が20年間も続いていたといいます。
親族や他人の名義を使って勝手に会員登録をしていたという話に驚きの声が上がりましたが、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ)の所属アイドルのファンに取材すると、「一部のファンの行動かもしれませんが、他人の名義を使用すること自体はよく聞く話ではあると思いました」との声もありました。
多くのファンがルールを守る一方で、他人名義の使用に及ぶ実態もまだ一部で残っているようです。
背景には、当選確率を上げたり、よい席を確保しようとするなどの動機もあるようですが、運営側も対策に取り組む中で、そうした行為について良識あるファンからも疑問が投げかけられました。
●「よく聞く話」と語るファンも
「家族の名義を使って“多名義”をするのはよく聞くことです。本当はダメなんですけどね」
そう話すのは嵐ファンのAさんです。こうした行為は、嵐に限ったことではないそうです。
「人気グループはチケットの倍率が高く、名義が1つだとなかなか当選しません。嵐ほど競争率が高くないグループでも多ステ(何回も行く)したいためじゃないかと思います」(Aさん)
旧ジャニーズファンのBさんも同様の見方を示します。
「無断使用は気になりますが、旧ジャニーズ界隈では、コンサートの当選確率を上げるために他人の名義を使うことは割とよく耳にします」(Bさん)
複数名義を持つ背景について、ファンのEさんはチケット売買との関係も指摘します。
「旧ジャニーズのライブは、入場時に初めて座席が判明するシステムです。発券後、主にSNS上で売買や交換がやり取りされます。これを通称『中売り行為』と言います。複数当選すれば選べる席が増え、余ったチケットを転売することもできる。転売問題の一因にもなっているように感じます」(ファンのCさん)
●不正転売対策に取り組む事務所
とはいえ、このような不正転売や不正入手をめぐり、運営側も、近年は法的措置をとるなど対応を強化しています。
Bさんは「特に嵐は、今回のWe are ARASHIツアーで顔認証のシステムが導入されるなど、不正行為や転売への対策にものすごく力を入れております」と振り返る。
SNS投稿にあった「20年間、人の名義を無断使用していた」との言及には、「おそらくセキュリティが強化される前のツアー等に使用して、少しでも確率を上げようとしたのかも」との見方もありました。
本人確認の厳しさにはグループによってばらつきがあり、「厳格に来場者全員に本人確認がされることもあれば、ランダムに確認される程度のものもある」(Cさん)そうです。
Bさんも「一度も確認されたことがありません。自分名義で参加しているので、確認されたところで問題はありませんが」と話します。
名義の無断借用が広がった背景には、現在ほど本人確認や不正対策が徹底されていなかった時代の空気もあったようです。
また、「CDを積む(=買う)感覚で、推しのファンクラブ人数を増し増しにする応援の仕方があるのでは」(Dさん)といった意見もありました。
●一部の違反が多くのファンやアイドルにも影響する
しかし、こうした「慣習」が一部で存在してきたことと、その行為が許容されるかどうかは別問題です。
ファミリークラブの会員規約では「他人の名義を借用する行為」などが禁止事項とされています。発覚すれば、会員資格の取り消しなどのペナルティが規定されていることにも注意が必要です。
さらに、具体的な内容によっては、規約違反にとどまらず、刑事責任が生じたり、損害賠償などの民事責任を問われる可能性も考えられます。
こうした実態について、長年ファンを続けてきた人たちからも複雑な思いが見受けられました。
ファンのEさんは、他人の名義を利用するファンは一部ではないかといいます。
「正式なルールにのっとってアイドルを応援しているファンがほとんどだと思います。それでも、一部であってもルールを守らない人や転売業者の行為が目立つと、真面目なファンやアイドルにまでよからぬ視線が向けられてしまうことには注意したいです」(Eさん)
こうした背景は旧ジャニーズのアイドルに限ったことではなく、ほかのエンタメでも共通するところがあるようです。ファン文化のあり方をめぐる問いは、今もファンの間に静かに残っています。