東京都内のマンションに引っ越してきた自営業の女性。
これまで暮らしていた地域とは異なり、厳格なゴミ分別ルールに戸惑いながらも、指示に従ってゴミ出しを続けていました。
ところが、共用のゴミ置き場に出した袋を、同じマンションに住む高齢女性が毎朝開封し、中身をチェックしていることが判明。「分別のためとはいえ、勝手に開けられるのはつらい」とショックを受けています。
こうした行為は許されるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。
●プライバシー侵害で不法行為になる可能性
他の住民が出したゴミ袋を開けて中身を確認する行為は、私生活の秘密を暴きプライバシーを侵害するとして、違法になる可能性があります。
ゴミの中には、捨てた人のプライバシーに関する情報が含まれています。捨てた人の生活状況や行動が推測できる情報が含まれていることが少なくないからです。
たとえば、宛名や住所が記載された郵便物や宅配の送り状、クレジットカードの利用明細、医療機関の領収書や薬のパッケージ、購入した商品のレシートなどからは、居住者の氏名や連絡先、健康状態、購買履歴といった個人情報が読み取られる可能性があります。
その目的が分別状況の確認であったとしても正当化されません。ゴミ袋を開けた人は、そのゴミを出した人に対してプライバシー侵害に基づく精神的苦痛について、不法行為(民法709条)を理由とする慰謝料を支払う責任を負う可能性もあります。
ゴミを開封して分別状況を確認することについては、自治体の指導や管理組合のルールに基づき、適切な方法で行われる必要があります。個人が独断で他人のゴミを開封する行為には注意が必要です。