メルカリが8月25日、「胎児のエコー写真及びそれに類するもの」を禁止するとの方針を発表しました。サイトでは「2025年9月1日以降、該当の商品を事務局で確認した場合は、順次削除いたします」とした上で、「該当商品を出品、販売されている場合は、必ず商品の取り下げをしていただきますようお願いいたします」と呼びかけています。
メルカリでエコー写真にどのようなニーズがあるのかは不明ながら、SNSでは交際相手に「妊娠した」と嘘をついて慰謝料を請求したり、その他何らかの要求をするのに使われたりするのではないかとの不安の声も上がっていました。
実際、弁護士ドットコムの法律相談にも、「中絶費用を支払ったが、後から見せられたエコー写真が他人のものだとわかった。詐欺ではないのか」という趣旨の相談が複数寄せられています。
●刑法上も様々な問題が生じるおそれ
もし仮に、自分のものではない胎児のエコー写真を使って、男性に対して何らかの要求を行った場合、どんな法的責任を問われる可能性があるのか検討します。
まず、他人のエコー画像を証拠として、慰謝料などの名目で金銭を支払うよう求めることは、詐欺罪(刑法246条1項、10年以下の拘禁刑)に問われる可能性があります。
また、「○○しなければ、妊娠したことを公表する」などといってなにかを行わせようとすれば、強要罪(刑法223条、3年以下の拘禁刑)に問われる可能性があります。
他方で、エコー画像を証拠として、相手に妊娠したことを告げて精神的にダメージを与えるだけにとどまる場合には、直ちに犯罪は成立しないと思われます。
●刑法上問題とならない場合でもデメリットの方が大きい
刑法犯にならない場合でも、いろいろなリスクはありそうです。
そもそも、妊娠したのであれば出産することになりますし、その後中絶したというならその証拠が必要になりますから、最終的に嘘がバレる可能性は高いと思われます。
そして嘘がバレた場合、相手方は当然非常に怒るでしょう。
胎児のエコー写真をなにかの交渉材料にしたのであれば、証拠をねつ造してまで嘘をついたということが、交渉の過程で大きな不利益になるでしょう。
相手が中絶費用の返還を求めてきたり、嘘のエコー写真をもとに結婚が決まった場合には婚約破棄を申し出られたりすることもあるでしょう。婚約破棄の場合には慰謝料を求められる可能性もあります。
ねつ造には大きなリスクが伴います。ましてや妊娠したという非常に重要な事実をねつ造することは、あまりにもリスクが大きすぎるので、絶対にすべきではありません。