群馬弁護士会は4月21日、政府が3月7日に国会提出した日本学術会議法案について、「日本学術会議がナショナルアカデミーとして有すべき政治権力からの独立性・自律性を失わせ、憲法23条が保障する学問の自由を侵害するもの」として反対する会長声明を発表した。
この問題は2020年10月、当時の菅義偉首相が日本学術会議の会員6名の任命を拒否したことに端を発している。法案は、現行の日本学術会議法を廃止し、異なる組織として法人「日本学術会議」を新設するもの。
●「外部からの介入を許容する体制が幾重にも作られている」
群馬弁護士会は声明で、現行法では「日本学術会議は、独立して職務を行う」と明記されているのに対し、法案ではこの文言がなく、「むしろ、法人に複数の機関を設けることにより、政府をはじめ外部からの介入を許容する体制が幾重にも作られている」と指摘。
具体的には、会員以外から選任される選定助言委員会や運営助言委員会の設置、内閣総理大臣が委員を任命する日本学術会議評価委員会の設置など、「各機関の設置・運用は、活動面における政府からの独立性、会員選考における独立性・自律性といったナショナルアカデミーの根幹を損なうもの」と批判している。
群馬弁護士会は政府に対し法案の撤回を要求するとともに、内閣総理大臣に対して「2020年10月の学術会議会員候補者6名の任命拒否を是正してその正常化を図るよう求める」とした。