俳優の広末涼子さんが4月16日朝、勾留されていた浜松西署から釈放されました。
広末さんは4月7日、静岡県内の高速道路で追突事故を起こし、搬送された病院で看護師を蹴るなどしてケガをさせたとして、傷害の疑いで現行犯逮捕されていました。 釈放されたことを受け、広末さんは公式サイトで「被害者の方々に対し、心より深くおわび申し上げます」とのコメントを発表しました。
報道によると、被害者の看護師側との間で示談に向けた調整が進められているということですが、今後はどのようなシナリオが考えられるのでしょうか。簡単に解説します。
● 依然として捜査は続けられるが、起訴の可能性は低いと考えられる
広末さんの釈放は無罪放免を意味するものではありません。釈放は単に勾留が終了したことを示すにすぎません。
刑事手続きとしては、依然として捜査は続けられ、検察官が最終的に起訴するかしないかを決めることになります。
報道によると、看護師との間で示談が進められているとのことです。
傷害罪は親告罪(被害者からの告訴がないと起訴できない犯罪)ではないため、示談が成立しても自動的に不起訴になるわけではありません。
しかし、傷害罪では被害者感情が重視される傾向にあります。特に今回のように軽傷の場合、示談が成立すれば、起訴はされない可能性が非常に高いといえるでしょう。
● 危険運転致死傷罪の立件の可能性は?
また、広末さんは、危険運転致傷罪容疑で自宅の家宅捜索を受けていることから、この罪の容疑についても問題となります。
これまでの報道によると、家宅捜索で違法な薬物は見つかっておらず、本鑑定でも検出されなかったとのことです。
本鑑定がどの範囲でおこなわれたのかは必ずしもハッキリしません。
処方されている薬については特に鑑定されていないのであれば、広末さんが処方されている薬物による影響で事故を起こした可能性は、報道をみる限りではまだ残っていると思われます。危険運転致傷罪(自動車運転処罰法2条、3条)における「薬物」は、適法なものも含まれるからです。
そうすると、危険運転致傷罪についての捜査が進み、広末さんが起訴される可能性は一応残っていることになります。
ただ、同乗者は広末さんのマネージャーだったようです。同乗者も広末さんの処罰を望まないということであれば、結局、起訴されない可能性が高いと考えられます。
なお、薬物とは無関係に、過失運転致傷罪(同法5条)に問われる可能性もあります。
しかし、こちらについても、同乗者が処罰を望んでいない場合にまで起訴される可能性は低いと思います。