テレビ番組の製作会社で構成する一般社団法人全日本テレビ製作社連盟(ATP・福浦与一理事長)は、フジテレビに対し、発注キャンセルや番組終了による倒産などが懸念されるとして、番組予算の確保やフジテレビの都合による休止や仕様変更にともなう作業への対価保障などを求める要望書を提出した。要望書は1月30日付。
●「現場スタッフの疲弊につながる」
要望書では、中居正広氏のトラブルから派生している問題について「業界全体として信頼回復に取り組むべき重要課題」であるとしながらも、番組の中止や広告差し替えにともなう自主返金作業など「フジテレビを大きく揺るがす事態」に対して、ATPには製作会社から不安の声が数多く寄せられているとしている。
さらに、要望書では次のように懸念を示している。
「納品済み番組の緊急再編集、取材先のキャンセルによる急な内容変更など、その影響は製作会社だけでなく撮影・編集などの協力会社にも及びます。現場スタッフの疲弊につながる過重労働も避けなければなりません。零細企業も多いATP会員社にとって、番組終了や発注キャンセルが即倒産につながるケースも容易に想定されます」
●「4月編成の見通しを早期に」
こうしたことから、ATPではフジテレビに対し、次のような項目について「特段の配慮」を求めている。
・レギュラー番組の通常予算や本数の確保。
・局の都合による休止や仕様変更にともなう作業への対価の補償。
・予算一律カットなどを行わず双方で適正な製作取引を目指す。
・4月編成の見通しを早期に提示いただく。
要望書では最後に、「フジテレビの番組から日本のコンテンツ産業を支える製作会社の多くのトップクリエイターを輩出できた事は私たちの誇りでもあります。その豊かな製作土壌を将来にわたって維持するためにも、信頼の早期回復を切に願っております」と述べている。