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「足で園児を押さえるのは日常茶飯事」松戸市で“不適切保育”の公開通報 保育士加入の労組が批判 子育てしやすい街1位に波紋
会見する(左から)ユニオンの神部さんと元保育士の梅原さん(2024年2月27日、弁護士ドットコム撮影)

「足で園児を押さえるのは日常茶飯事」松戸市で“不適切保育”の公開通報 保育士加入の労組が批判 子育てしやすい街1位に波紋

東京管理職ユニオンは2月27日、千葉県松戸市内の社会福祉法人が運営する保育園で「子どもたちへの虐待等と疑われる事案(不適切保育)が行われている」として、市役所で市に対して“公開通報”した。

賃金不払いなど労働条件をめぐる交渉のため、2023年にユニオンに加入した保育士や調理師ら13人が労働組合を結成。2022〜2024年に起きた、暴言やネグレクト(無視、放置)などの不適切保育についても糾弾することを決めたという。

公開に踏み切った経緯についてユニオンは「市に繰り返し相談・通報したが、市も園もまともに取り合わず改善されないという状況だったため」としている。

松戸市は近年「やさシティ、まつど。」をスローガンに、幅広い子育て支援策を展開。日経新聞などの「子育てしやすい街ランキング2023」では総合1位となったとPRしていた。

労働組合が公開した動画の一部。左は園児をひっぱり、右は布団が飛んでいる光景(弁護士ドットコムニュース編集部加工)

●針を当てて「縫っちゃうぞ」で市が注意

告発したのは、園長ら5人の保育士(退職者や非常勤含む)による2022年〜2024年2月の20数件の行為。大声で叱ったり、裁縫箱から針を出して口に当てるジェスチャーをして「口を縫っちゃうぞ」などとする言動のほか、馬乗りになって羽交い絞めにする、布団を投げつけるなどの身体的虐待とみられる行為もあったという。一部は動画も公開した。

保育士ら職員・元職員8人が出席。それぞれが目撃した行為について説明し「2022年の針案件は市役所が調査したのに、ほぼおとがめなしで終わった。この時に対応していれば、続かなかったのでは」「ある職員は足で扱うのが日常茶飯事だった」との声もあった。

元保育士で、園に問題を訴え続けた結果、退職に追い込まれた梅原柚さんは「何度も、何度も、電話や来所で市には訴えてきたが対応してもらえなかった。子育てしやすい街ナンバー1と言っているのなら、実態もそうなってほしいと思います」と述べた。

ユニオンの神部紅書記長は「市側が通報を受けた際に調査票がないということは驚いた。聞き取り調査をどうするのか、フローや判断基準も明示すべきだ」と指摘。また、この日に公開した動画について、市が報道陣に撮影しないよう要求したことについて「市はオープンじゃないと動かないとの考えで“公開通報”にした。隠蔽体質があるのではないかと疑う」と話した。

松戸市保育課の担当者は協議後、「きのう(2月26日)いただいたお話で、まだ調査できていない。関係各所に確認した上で回答する」と応じるにとどまった。3月15日に文書で詳細を回答するとしている。

その後、報道陣の求めに応じて会見した保育課長らは、2022年の「針案件」については調査したと説明。2023年3月に理事長あてに「不適切な保育と疑われるような行為がないよう」改善に努めるよう市長名で注意の文書を出したという。

保育園は弁護士ドットコムニュースの問い合わせに対し「担当者がいないため、回答できない」としている。回答があり次第、追記する。

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