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旧統一教会“おわび”会見 田中会長、慎重な物言いに終始「被害者」使わず、組織の責任認めず
おわび会見する(左から)田中会長、勅使河原本部長(2023年11月7日、弁護士ドットコム撮影)

旧統一教会“おわび”会見 田中会長、慎重な物言いに終始「被害者」使わず、組織の責任認めず

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は11月7日、東京都渋谷区松濤の本部で記者会見を開いた。2022年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件以降、元信者からの返金要請に対し、664件44億円分に応じたことを明らかにした。

田中富広会長は「伝道について説明や配慮が不足しており、今までつらい思いをされてこられたことを率直におわびしたい」と述べ、勅使河原秀行改革推進本部長と共に頭を下げた。しかし、こうした事態に至ったことについては「信者の誤解があった」「メディア報道で不信感が広がった」などと話し、組織としての責任は認めなかった。

田中会長が公の場に出るのは2022年8月以来約1年3カ月ぶり。解散命令請求を受け、供託金 として60億〜100億円を準備すると説明した。

●「被害者」とは簡単に言えない

田中会長によると、返金要請は事件以前は10〜20件程度だったが、この1年で急増したという。

「献金は私たちの資産です。責任者が決裁しなければならないと、664件すべてに目を通しました。当時の対応の不足さゆえに心痛める人がいると具体的に知った。いつかお詫びの機会をと思っていました」

会長としての責任も感じているとしたが、被害者という言葉については「簡単に使わないようにしている」と説明。「被害というのは客観的な事実があること。明確な事実があるならしっかり謝罪する」とした。

今国会で財産保全の特別措置法案が提出されていることについて、「被害者数も、被害状況、被害額も不明確だ」と繰り返し述べ、批判的な姿勢を見せた。供託金を準備したのも、保全の必要性を否定するためという。

全国霊感商法対策弁護士連絡会が挙げている「潜在的な被害額は1200億円を超える」という点について「根拠はどこにも見出せない」と強い口調で打ち消した。

●信者差別に関しては雄弁に語る

田中会長は献金トラブルについて被害者という言葉を頑なに避ける一方で、現役信者に対する差別や世間の風当たりについての質問には雄弁だった。「受診拒否に遭ったり、職を失ったり、自殺した青年がいます」「あとはですね、行事のお花や仕出を断られたり…あとは、あとは」と立て続けに例を挙げた。

解散命令後を見据え「2級市民かのような扱いを受ける可能性がある。普通に税金を払い、法を守って生活している人たちです」と、懸念を示した。

改革を担ってきたという勅使河原本部長は、10万円以上の献金には受領書を発行することなどこれまでの改革内容を説明し、2009年のコンプライアンス宣言以降は、トラブルは激減していると強調した。

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