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共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(1)
法務省(キャプテンフック / PIXTA)

共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(1)

法制審議会の家族法制部会は8月29日、離婚後の子の養育をめぐる制度の見直しに向けた民法改正要綱案のたたき台を示し、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」の導入を認める一方で、DVや虐待があった場合は例外としました。

弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、たたき台についての賛否や意見​​などを尋ねるアンケートを実施し、176人から回答が寄せられました(実施期間:8月31日〜9月5日)。

「たたき台」について賛否を尋ねたところ、56.3%が「反対」、21.0%が「どちらかといえば反対」と回答し、「どちらかといえば賛成」、「賛成」と回答した14.3%を大きく上回りました。4回にわけて、弁護士から寄せられたコメント全文を紹介します。

●賛成・反対の理由

賛否の理由を尋ねたところ、以下の声が寄せられました。弁護士から寄せられたコメント全文を紹介します。

【反対派の意見】「共同親権がなくとも、共同監護は可能」「争点が増える」

「うまくいっている父母は、共同親権でなくともうまくいっている。ただでさえDVの概念が狭い中、元夫に会うのが怖い元妻の状況を理解していないように思えるから」

「DV事案でも、当事者にそのことを疎明ないし立証責任を課すことになれば、無力化された状況にある被害者の負担が大きいため、家庭裁判所のDV事案かいなかの見極める力に不安がある以上、被害者が取りこぼされるおそれがなおあるため」

「抽象的で不明確だから」

「これまではどちらが親権を有するかを揉めてた件が、共同親権か単独親権かということと、単独親権としてどちらを親権者とするかを揉めることになって、争点が増えるだけだと思う。現状問題がある件をどうにかしようということだろうが、もめごとが増えるだけで解決にはならない。親の「権利」という構造で捉えており、子どもからの視点はまったく置き去りだと感じる」

「法定養育費の創設にはどちらかといえば賛成だが、取立てなども国が代わりに行ってくれる制度にして、権利確保まで担ってほしい。その他の内容には基本的に反対。円満離婚の場合は、現在の制度下でも共同養育に近い形での運用は可能なので、わざわざ共同親権制度を作る必要性はない。むしろ、夫婦間の紛争を長引かせる/離婚後もパートナー(および子)への支配継続の基盤とされてしまう弊害が大きい。すなわち、一方が共同親権を主張し、他方が拒む場合、夫婦関係が実質的には対等でないなどの問題があり、話し合いによる運用が困難な事情があるケースが多いと思われる(離婚事件の代理人の経験などから)。そのような夫婦に共同親権を導入すると、夫婦間の紛争を継続させることになり、かえって子の福祉に反する。子の養育方針についての協議が整わない場合、被害を被るのは子どもである。家裁が面会交流の試行を促せる、という制度の創設には強く反対。面会交流を公的機関の関与のもとで、安全に、かつ費用負担なく実施できる枠組みの創設が先。試行面会の実施→面会を実施する旨の審判を下すだけ下して、あとは当事者で調整してやってくれ!ではあまりに無責任。それができたら、そもそも紛争にならない」

「共同親権の可能性を認めた点や養育費の徴収手段が増えることなど評価できる一方、監護権という独立した概念を設けて、主たる監護者という共同養育や親子交流を妨げるおそれのある制度を設けることや代諾養子縁組制度の規制をしないなど、共同親権を導入する意味を骨抜きにしかねない内容も含まれており、現在の紛争が改善しないどころか、監護権をめぐり更に争いが激化するおそれがあるなど、多くの問題を抱えている案と考えられる」

「夫婦間、元夫婦間の紛争をさらに深刻化させる」

「現状で共同親権を選択できるとすると、DVなど問題を持った男性が共同親権に固執し、離婚などが困難になるケースが増えることが容易に想定されるから」

「離婚後紛争が激増するが家裁は機能を果たせず、婚姻中の力関係が続く」

「現在、親権が争われているようなケースは、共同親権となっても監護者指定の争いに変わるだけで、共同親権推進派が問題視している面会交流の実施が不十分といった課題に対応できていないから」

「一定程度評価できる点はあるが、共同親権によって生じる問題が大きく、制度導入に賛成できない」

「DVやモラハラで対等な合意形成ができない夫婦もいる。家庭裁判所の調査官調査も表面的なものにとどまり、公平な判断をすることは難しい」

「根本的な解決になるように思えない」

「共同親権を取り入れた場合に予想される弊害や混乱について十分な検討がなされた上での法改正とは考えられない」

「両親のいずれかが共同親権を望んでいなくても、裁判所が共同親権を決定することができる仕組みは元夫婦間の紛争を長期化させると考える」

「理想論としては理解するが、現実の事件を見たときに、困難事件の難しさが拡大すると感じる。DV・モラハラ等ほど相手方の強硬な主張を受け入れてしまう傾向もあり、本来共同親権にしてはいけない案件について、早期解決のために共同親権にしてしまいそうである。弁護士の処へ持ち込まれる離婚は、多くの場合、「話合いが不可能である」ためにそうなっているのに、共同親権にして話し合いができるはずがないと思う」

「日本のように女性の経済的・社会的立場が低い現状のまま、共同親権を選択肢としてでも認めると、離婚の条件として共同親権への合意を強いられる女性が増えるのではないかと危惧するため」 「DVは管理・支配の関係です。洗脳され、自己肯定感が著しく低下しているDV被害者は、離婚時に単独親権か共同親権かを選択できるとしたら、大多数のDV被害者は共同親権の選択をさせられることになりますし、場合によっては、共同親権なのだからと言いくるめられて監護権をDV加害者に渡してしまう恐れもあります。共同親権という制度そのものに抵抗があります。「親権」、すなわち「親の権利」ではなく、「子に対する義務」に変更すべきです。また、そもそも、深刻なDV被害を受けている人は、加害者の側にいる状態では、加害者に対し離婚を申し出ることが怖くてできません。離婚時に親権の話合いをする際に、DV被害者と子の心身の安全を図るための制度を設けるべきです」

「法改正の必要性が判然としない。離婚後共同親権を導入したところで、離婚後の家族関係のトラブルの解決にはつながらないと予想している」

「DV加害者が親権を求めて離婚成立ができないケースが乱立すると思われる」

「そもそも何かを共同でできないから離婚するのに、どちらか親権者か決めずに離婚できるとか、進路や医療行為などにつき親権の共同行使をしないといけないとしたら、離婚後も元夫婦の争いが続くし、子どもが必要な医療措置を受けられなかったり、自分の好きな進路に進めなかったりなどして、子どもの福祉に合致しない。現状の制度でも、関係がよければ、共同養育をしているところもあれば、進路などを相談している人たちもいる。子どもへの悪影響を考えたら、できる人だけ無理せずやるというのが望ましい」

「議論が拙速。十分に議論されず、改正ありきで動いている」

「共同の対象となる「親権」の定義が不明確で、民法766条との位置づけも不明確。父母の紛争が離婚後も継続し、子どもを巻き込んでいくことが必至である。面会交流の支援はできても、共同決定の支援は極めて困難。意見が分かれるときは裁判所へといっても、現時点で家裁は月に1回の期日も入らず、マンパワーが足りていない。予算増額の見込みもない。説得しやすい方を説得するであろうことが懸念される。離婚後窓口業務について経済的な裏付けもなく、当事者に丸投げすれば、支配的な別居親が強大な権力をもつことになりかねず、弱者の口が塞がれる。2012年以降、面会交流原則実施運用がエスカレートし、同居親と子ども達に多大な苦労を強いてきて、2020年にようやくニュートラルフラット方針になったことと整合しない。協議離婚において、養育費不払いが横行しており、「任意」に合意がされていないことは明らかであって、「共同」を強いられる当事者が続出するだろう。共同親権は、実質的には、別居親に親権を持たせるという意味で、親権の分属に等しく、審判や判決で共同親権が義務付けられることが子どものためになる想定は難しい。共同の合意すらできない関係性で、共同を義務付けて、揉めるだけである。ただでさえ、面会交流の申したてや、親権変更の申し立ての繰り返し、「連れ去り」「面会妨害」などを理由とする損害賠償請求の繰り返しなどのpost separation legal abuseという事態が起こっているのに、さらにそれが量産されるであろう。共同親権を導入するなら、家裁のマンパワーはもちろんのこと、弁護士のサポートが不可欠で、リーガルエイドが行き渡る必要性があるが、離婚事件における妻側弁護士に対する業務妨害は年々増加、エスカレートしている。今の日本で共同親権制度を導入することは危険きわまりない。「共同」違反があれば、学校や病院などに対しても損害賠償請求を行うものがでてくると思う。常識的な人間には不必要な制度であって(当職は、事実婚の単独親権で子どもを育てたが、協力的関係があれば不要なスキームである)、非常識で支配的な親が切望する制度である。「多様化」というキーワードが使われるが、婚姻の多様化(同性パートナーの婚姻や、別姓婚)と、婚姻制度の多様化(親権のみ共同する関係)は意味が違っており、後者のニーズがあるとは思えないし、少なくともこれまでに議論されていない。現在、共同親権を求めている層は、「実子誘拐禁止」「片親疎外」などを訴えており、精神的暴力を軽いDVだと扱っている。DV加害者ほど、共同親権を訴え、弁護士への業務妨害を繰り返していることを法制審議会できちんと見定めて欲しい」

「いわゆる面会交流原則実施論の運用になる直前であったが、家事調停官を経験した。この頃から、過度な面会交流を求める親がおり、同居親が子どもを洗脳しているという主張とセットだった。DVや虐待の加害度が高いものほど散見された。特に、子どもを使って自己実現をしているような親や性虐待の親が含まれていた。彼らは、非常に強硬な態度であり、他方でその相手方である配偶者は説得に応じやすいという側面があった。マンパワー不足の家庭裁判所で、彼らを除外できるのかについて疑問がある。説得しやすい方を説得するのではないか。また、現行法のもとで、親権者と監護者の分属はほとんど採用されていない。当事者が希望しても、大丈夫かと心配する。共同親権には、同じ効果がある。当事者に合意があっても、本当にそれでよいのかを確認する必要がある。合意のない父母に分属を命じることがない以上、合意のない父母に共同親権を命じると言うことはあり得ないだろう。以下は、弁護士と言うよりは、個人的な経験であるが、私は事実婚であり、妻が単独親権者であった。私は非親権者として、子どもが他県の大学に進学するまで同居して、子育てをしてきた。その経験からいうと、親権の存否は親子の交流の濃密さとは全く関係がない。親権がなかったことに不便もない。子どもにとって必要なのは父母の信頼だ。信頼は強制できない。同性婚や、別姓婚を念頭に、事実婚のために共同親権という考えがあるが、それは、婚姻として認めるべき。婚姻の在り方として、事実婚を位置づける必要があるのかについては、そこにニーズがあるとは思えない。むしろ、婚姻制度の多様化は、差別を固定化するのではないか」

「共同親権は虐待など、深刻な支配関係を離婚後も継続させるものになると考えるから」

「パブコメを無視している 家事事件の実態を学者が無視している 圧力に屈している」

「共同親権を実質上強制するものであり、DV、とりわけ精神的DVの被害者に犠牲を強いるかたちとなる。共同する親権の範囲が不明確。また、そもそも、「親権」を共同して行使することが「子の利益」にかなうとは言えず、共同できない結果、被害を受けるのは子どもである」

「家庭裁判所は現状でもマンパワーが不足しており、物的資源も不足している。例えば、面会交流のためのカジュアルな施設もない。調停一つとっても、1~2か月に一度しかなく、同じことの繰り返しで期日が無駄になっている。呼び出しをしても来ない相手方も多いが、ペナルティはない。もともと不和により離婚となっているので、子のために共同して決定していくことには無理があり、審判によって決定するとしても、調停が不調になったその場で審判が出ることは考えられない。調停委員会での裁判官と審判の時の裁判官が異なることも多いからである。そうすると、また、一からスタートする。延々と繰り返されていく。子どものことを決定するのはスピード感が大事なのにその問題点が全く考えられていない」

「共同親権導入により確実に増えると予想されるDVや虐待の継続に対する対応をしっかり検討した形跡がなくあまりにも安易な案であるから」

「DV被害者が守られない。DV、虐待と法的にどのように判断するのか、明確ではない。DV以外のモラハラで離婚するケースでは、共同親権を事実上強制される」

「離婚する夫婦が共同して子育てができる方がレアだと思います。子どもをめぐる紛争が離婚後も続き、双方の顔色をうかがう子どもが安定した生活が送れないことを懸念します。とくにDV案件の場合は、深刻な被害が生じることが予想されますが、それに対する具体的で公的な手当(重要事項の決定や、面会の実施に対する家裁の強力な関与など)が議論されていないことも不安でしかありません」

「共同親権がなくとも、共同監護は可能。元夫婦で話し合いができる場合は既に共同監護をしている。面会交流すら認められていない場合はそれなりの理由があるというのが実務感覚(裁判所は、原則面会交流実施。妻へのDVがあっても、子どもに対しての明らかな虐待がない限りは実施。)。共同監護や面会交流が出来ていない関係性の夫婦が、共同親権となった場合、事実上の拒否権を与え、離婚後も支配を継続する。共同親権にしなければ離婚しない等という取引材料に使われたり、元々の力関係から拒否できない。(その他、書ききれないほどに理由はある。)」

「法改正を必要とする立法事実がなく、また、法改正による弊害が顕著なため」

「DVや高葛藤事案について十分配慮されていない」

「1、共同親権の合意ができなくても裁判所の審判によりDV虐待の明確な立証が無ければ共同親権、という運用になることが予想されるが、DV虐待の明確な立証は困難であり、DV虐待被害者には悲惨なことになる未来しか見えない。現在は離婚後単独親権制度のお蔭で、DV虐待被害者が離婚により加害者から逃げることが可能であった 2、離婚後共同親権にふさわしいケースは、現行法の単独親権制度によっても、共同養育できており、「親権」を与える実益が乏しい 3、共同親権になると養育費が払われるようになる、との主張は、根拠が不明である。現行法でも法的には扶養義務はあるが、払わない人は払わない。共同親権でも払わない人は払わない。払わせるための制度と、共同親権は論理的因果関係が無い。支払い確保の法整備は、親権と関係なく行うべき 4、親権者変更及び親権停止の判断枠組みが、現在の親権者の親権行使が明らかに不適切か?という基準で判断されているが、フラットに複数の選択肢の中から、もっとも子どもの最善の利益に適う者は?という基準に変えないと、子どもを適時適切に救済することはできない 5、共同親権を選択した場合に、監護者の指定が任意事項となっており、DV虐待ケースでは監護者指定がなされないことが予想され、現実の子どもの生活に適時適切に判断するのに支障をきたすことが予想される 6、面会交流支援のインフラに、公費をどれ程、投入する覚悟があるのか。弁護士がタダ働きすることを調停委員に強要されるのが落ちではないか」

「共同と言えば聞こえは良いが、一方に拒否権を与えるだけである。共同できる父母は、親権がなくても実際に共同できている。たたき台自体、何が共同すべきことか明確にされていないし、曖昧なことが多すぎる」

「日本において子どもがいて離婚する夫婦は、かなりの程度に修復困難となってからの離婚であるため、離婚後の共同がうまく機能する素地が社会的にすくない。仮に、離婚後の共同を導入するならば、制度変更ではまったく足りず、幼少期からの男女平等の教育(人権尊重の教育)、男女収入格差の是正、ケア労働の女性偏重の解消、教育費用の負担軽減(高等教育の学費無償化)などが不可欠であるが、そこにまったく配慮がない。また、家庭裁判所の機能は大変脆弱であり、とくに高葛藤家庭での紛争解決に必要な専門知識をもった人員が不足しているが、家庭裁判所の機能充実への目配りもない。あわせて、養育費については、自己責任化せず、国が必要額をひとり親家庭へ支給し、公租公課同様に収入に応じて別居親から徴収する形をとることがもっとも必要かつ望ましいと考えている。自己責任を前提とした、小手先の回収強化策については、自己責任を強めるのみであるので反対である」

「子どものために協力できる父母関係であれば、共同親権の権利を定めなくても協力できる。それができない父母関係で、別居の共同親権親が干渉する権利を得れば、子供を巡る父母の争い(裁判紛争)が繰り返し続き、特に同居親と子の世帯の負担があまりにも過大になる。当事者間の協議で、離婚条件として共同親権が必須と言われたら、早く協議で離婚したいため、また当事者間の力関係から、本来不適切なのにやむを得ず受け入れる例が多発することは間違いないと思われる」

「共同親権の導入に反対だから」

「一方で、そもそも親権共同制を採用する必要はない。離婚後も相応に円満な関係なら事実上相談して監護することは現行法でも可能。他方で、選択制にしても不適切事案(DV・虐待事案だけでなく高葛藤事案)が親権共同制を「選択」することを防ぐことはできない。それは子と同居親の利益を害する」

「選択制でも離婚後共同親権は、子と同居して監護する親を際限のない紛争にさらし、DV虐待の継続を許す弊害を防げない。離婚後単独親権で子どもの福祉を損なっているという立法事実がない」

「大変拙速な議論で、離婚(紛争状況が高い)の実態を全く理解していない人たち(学者)を中心に、政治的な力が大きく働く中で作られたたたき台である。このたたき台には、共同親権が導入されれば最も大きな影響を受ける当事者の声や、その力に寄り添う弁護士(実務家)の意見、そしてこの制度が導入されれば目に見えて関わりが質量ともに過多となるであろう家庭裁判所の裁判官等の視点が反映されず、無視されたものとなっている。また、パブリックコメントの内容への検討も全くなされておらず、多数決で今後押し切られてしまう可能性がある。本当の意味で民意が反映されず、民主的な手続きが執られていない法制審議会には不信感、絶望の気持ちである」

「共同養育は理想論としては正しいが、現実はそんなに甘くない。そういった共同作業ができないために離婚に至る夫婦が多数。DVや虐待案件でなくとも、共同親権が選択できるとなると、無用な争いが増え、紛争が長引き、そのしわ寄せが結局こどもにいくと思うので、親権については、単独親権の現行のままで良いと思う。親の離婚を経験した子どもたちからもっと話を聞くべき」

「共同親権とすることは、両親の紛争を継続的に意識し続けることになり、子どもの心身への悪影響であることは間違いないため」

「共同親権を選択できる夫婦であれば現在でも協力して監護していること、意に反して共同親権を事実上選択させられることになり、これによりまた配偶者からの支配や干渉が続き元妻や子どもの平穏な生活や自由が損なわれること、また重要な判断で意見が分かれた場合に子どもに不利益が及ぶことから」

「共同親権の部分が特に反対。対立している夫婦が、やっと離婚できたのに、離婚後も関わっていかなければならない、協力しなければならないなど現実的に難しい。共同でないと何事も決められないとなると、子の福祉を害することにもなる。また、共同親権となれば離婚時での親権者の対立はクリア出来るかに見えるが、結局どちらの元で子どもが生活をするのかが対立の根本であり、監護者の指定の場面で対立することになると懸念する。親権者の対立が監護者の対立にすり替わるだけで、何の問題解決にもなっていない」

「共同親権を導入する目的が「面会交流の改善」「養育費の確保」であるとすれば、手段として共同親権を導入しても無意味であると考えられるため。なぜなら、離婚前共同親権である婚姻中において同様の問題が生じているから。よって、離婚後共同親権は目的と手段との間に関連性を欠く。他方、子の手術や進学を認めるかわりに条件交渉を迫るなど悪用されることが容易に想定できるが、この点について問題意識の共有すらなされていないため」

「共同親権の制度は圧力をかけたい側の取引に利用される」

「子にとって有害な場面が増えることは予測される一方、利益になる場面を想定しがたい。離婚後の紛争の機会を増やすことで、平穏に過ごすことによる子の利益が大きく奪われる可能性が高いと考える」

「法案を実現できる組織が存在しない」

「実社会に男女不平等が存在しており、DV加害者の多数が男性である現状では、共同親権を導入することは、そうした男性の要求が通りやすくなるだけで、現実に子を監護する可能性の高い女性(及び同居している子)に対する障害となると思います」

「元夫婦で円滑な協議ができる場合には、共同親権は不要。高葛藤の場合は、元夫婦間の争いに子どもを巻き込みかねない」

「共同親権にメリットはない。破綻した夫婦関係を離婚で精算して歩み出すのに、共同親権で接触するのは破綻して精算する妨げになるだけで、子にとっても負担が続くだけである。現状の罹患後単独親権でも子の福祉の観点から親権者でなくなった側も子との関係を維持出来るケースもあるわけで、それ以上に共同親権にするメリットはなく、弊害の方が遙かに多いと思われる。いつまでも元の悪い夫、悪い妻と関わり続けなければならないことは子にとっても良いことはない。台湾法が適用されて共同親権になっている福原愛さんの例を見ても明らかであろう。日本法が適用されていれば福原愛さんが単独親権者になっていたのではないか。逆に元夫側が単独親権者になっていたかも知れないが、どちらにしても問題を引きずらずにすんでいたはずである」

「共同親権や面会交流時の第三者の立ち会いなど,紛争が発生した場合等に,具体的に利用できる手続きや制度が無いから。絵に描いた餅で終わると思う」

「そもそも、あまりにも性急に議論を進めており、叩き台についても十分に総合的な検討がされているとは思われない。今共同親権の制度を導入しなければならない立法事実があるとは、必ずしもいえない。議論の進め方が乱暴だと感じます」

「関係が破綻した夫婦が協力し合うのは不可能。最終的に不利益を被るのは子ども本人」

「共同でうまくいく元夫婦は現行制度で共同養育できる。制度導入のリスクを実務家として考えると賛成できない。DV虐待が継続し、それがなくても子が高葛藤に置かれ続け、養育にも支障が生じる」

「共同親権導入は、DV夫が強引に親権を主張することになり、子の福祉にも反する」

「我が国の精神的風土に合わない。離婚の最大の利点は、一言で言えば悪い縁を切ることができるということ。それができなくなる」

「問題解決を困難にするだけと思うから」

「共同親権の円滑な運用は現状では不可能であり、当事者がさらに困難な立場に置かれるのが目に見えているため」

「共同親権は弊害が顕著な一方で、メリットは殆どないから」

「非扶養側の要望に配慮していない」

「共同親権は子供が進学するために転居する必要があるの際に相手方の同意がなければできない等があり、子供の福祉にとって問題があるため」

「共同親権を導入できる環境が日本には整っていない」

「DV被害者の被害を深刻化させる可能性がある」

「選択的夫婦別姓が、事実上、夫姓選択制となっているように、形式的に選択制となっていても、実質的な選択権がなければ意味が無い。離婚時に夫婦が対等な立場で協議できるように、また、離婚後のトラブル解決についても、十分な公的支援が不可欠だが、現状の家庭裁判所ではその役割は到底担えない」

「離婚後共同親権を導入することで、子の福祉にかなう親権行使が阻害されるおそれがある」

「共同親権は、子の養育について協力関係の作れる父母には不要。協力関係を作れない父母には、主たる監護者による養育を他方が妨害することが可能となり、有害」

「1,離婚後共同親権の導入について (1)現状でも、DV等による髙葛藤事案においては、別居親による強硬な面会交流の要求により、DV等の被害者である同居親(私が担当した事件では、すべて女性)は、別居後も傷つけられ、夫を恐れ、疲弊している。同居親のこのような状況は、子の安全・安心を損ない、子の利益に反していることがほとんどである。 (2)離婚後共同親権が制度化された場合、現在の面会交流の調停、審判におけるDV加害者等の強硬な主張が、そのまま別居親の権利として強硬に主張されることが予想され、離婚事件の紛争性はさらに大きくなってしまう。DV等による髙葛藤事案で、その危険性がきちんと把握されず、離婚後共同親権となった場合、同居親は、別居親と対等な立場で親権行使の方法について話し合うことはできず、同居親に対して、恐怖、苦痛、不可能を強いることになる。 (3)離婚後共同親権の導入は、たとえ、選択的であっても、前述のとおり、紛争をさらに拡大し,同居親の負担を大きくするばかりではない。法制度に精通することが困難なDV被害者に対しては、離婚後も共同親権によりDV加害者から逃れられないとの不安・恐怖を植え付ける恐れがある点で有害である。  また、すべての被害者が、弁護士にたどり着く訳ではない。離婚後共同親権が選択的であることを知らないまま、離婚後共同親権に同意して離婚した場合、離婚後も、共同親権の名の下に、別居親の支配を受け続けることになる恐れが大きい。 (4)離婚後共同親権にするか否か、共同親権の定めの変更、監護者の指定等家庭裁判所への調停・審判の急増が予測されるが、そうなった場合、家庭裁判所の処理能力を超えることが危惧され、対応に追われる裁判官が、明確な証拠の有無により形式的な判断をすることになるのではないかということも、危惧される。  そのような場合、DV等の被害者である同居親が離婚後も共同親権の名における支配から逃れられない苦しみは、子どもの利益、安全・安心を害する危険が大きい。 (5)そもそも、DV等による髙葛藤事案でない場合は、子の面会交流についても、子の教育等の問題についても、離婚後共同親権の制度がなくても、別居親との話し合いにより解決出来ているのである。 (6)なお、ジェンダーギャップ指数を見れば、日本は、146カ国中125位と過去最低であった。日本よりも下位の国は、サウジアラビアやインドなどである。日本における男女間格差の解消が低迷しているのは、政治分野・経済分野での女性の地位が極めて低いからであり、政治的・経済的格差が大きい社会において、家庭内のみ男女平等が実現されていると言うことはあり得ない。  離婚後共同親権の制度導入は、欧米並みの制度を目指していると考えられるが、欧米との男女間格差の違いは歴然としている。制度を欧米並みにするという考え方自体、現状認識を欠いており、大きな問題である。 2,養育費について  養育費が支払われない理由の多くは、別居親に支払い能力が無いことである。強制執行を容易にすることも必要ではあるが、別居親が養育費を支払えない場合に対する、国の経済的支援の制度化が必要である。 3,面会交流について  あえて明文化する必要は無い。提案内容は、すでに、実施されている。」

「共同親権を導入すれば、配偶者や親による支配から、離婚後も逃れられなくなる事案が多数発生すると思われるから」

「DV事案の中にはモラルハラスメントなど外形からはDVとわかりにくい案件もあり、そうした事案がDV事案と取り扱われないままに共同親権制度が導入されれば、離婚後の監護親と子との生活に、元配偶者が不当に介入することにもなりかねないから」

「DV被害者などが、共同親権を拒否できず協議離婚に至ってしまい、DVやストーカー行為が継続する危険性がある」

【賛成派の意見】「国連子どもの権利委員会から勧告されている」

「最近、父母がいがみ合わない離婚がちらほらあり、そんな父母は共同親権も可能。法定養育費も離婚できるならと請求を諦める母親を救える」

「共同親権か否かで弁護士の活躍フィールドが広がる」

「養育費の先取特権については良いと思う」

「必ずしも、弁護士の介入が要らない、さほど対立が激しくない夫婦にとっては、共同親権という新たな選択肢ができることになり、より円満な解決が図れるようになる。他方、弁護士の介入が必要な対立の激しい夫婦にとっては必ずしも有効な選択肢にはならない。しかし、立法政策としては、少しでも共同親権で裨益する人がいれば導入する価値はある」

「共同親権というオプションを法制度として用意すること自体の必要性は明らかである」

「親権を取れない父親側の悲哀を見てきた者として、悲願ともいうべき改正になる」

「子の福祉に資する可能性が高いため」

「離婚に伴う親子についての紛争は、数多く存在するにも関わらず、裁判所は現状追認的判断が多く、強制力の弱さなどから、父、母、どちらにとってもただ我慢しなければならないというような場面を多くみてきた。離婚に伴う親子についての法制度について、日本が遅れていることは事実であり、この点について、国として、一定のルール化を目指すことは、望まれることである(遅いくらいでもある)」

「共同親権制度導入は、国連子どもの権利委員会から勧告されている。条約を批准している以上、導入すべき」

「選択肢を増やし、共同親権の弊害をできるだけ除こうとしたものと肯定的に理解する」

「これまで子の親権を扱った経験で、父親の人間性に全く問題無いのに、母親が子を私物化するケースを多数見てきており、原則的に「母親が親権者となってしまう現状の制度」のもとで育てられている子につき、その健全な成長のためには、父親の影響力が子に及べば子にとって良いことなのに、それが出来ない不都合のケースを多数見てきた」

「共同親権が必要あるいは、弊害のない場合の措置が現行法制では不可能」

「子どもの健全な成長をそっちのけで、別れる大人の男女が感情的になり、年端もいかない子どもが板挟みになる実情があり、受任弁護士のほうも、大人の男女の不合理な言い分をも悪い意味で担いで裁判所へ投げ上げる弊害が顕著であり、親権の不毛な争いは社会全体を悪くするだけだから。DV等のケースに対する懸念も、例外的に単独親権とすることその他諸々の工夫で、個別案件として柔軟にカバーしていくべきであって(家裁のテーブルで不毛な争いを続けるのではなく、子どもを一番に考える前提で、受任弁護士もそのマンパワーを弊害除去のほうへ注ぐのが健全な社会の在り方と思料される)、「共同親権原則だとDV等対応が難しくなる」というのは、議論の仕方として粗い印象を受けるので、共同親権それ自体は、諸手を挙げて賛成すべきと考えるから」

「単独親権に合理性がない」

「親権を争う事例、面接交渉を争う事例が多い。多くの事例では親権等を取ったもの勝ちとなり、いろいろな理由を付けて、面会交流等を拒もうとする事例が多すぎる」

【どちらともいえない派の意見】「親権よりも面会交流の方がはるかに重要」

「円満離婚であれば、離婚後の両親の関係が維持されるので、親権という形式での権限を与える必要はないので、単独親権のままでよいと思う」

「法定養育費と先取特権は賛成だが、共同親権についてはまだ態度を決定していないから」

「共同とされる親権の内実が不明」

「DV、児童虐待防止対応に必要な関係機関強化、家庭裁判所の強化がまず大事。面会交流について、支援や安全確保に取り組む機関を創設するのが良いと思う。また協議離婚が届出だけで可能な現行法を見直し、協議離婚について裁判所で当事者の意思確認をする制度とすると良いと思う。親権や監護権について、紛争解決に役立つ法改正は必要だとは思うが、その前か、同時にやるべき法改正や機関整備が必要」

「実務的には親権よりも面会交流の方がはるかに重要、共同親権であっても面会が認められない限り意味がないのでは」

「方向性としては賛成だが、DV・虐待等の対策が十分に可能かについてやや不安があるから」

「先取特権はよいと思うが、共同親権や面会交流の第三者の立会などは、かえって無用な争いを増やすように思われる」

「改正により現状よりも、実際に離婚する夫婦及びその子の置かれている状況が改善するということは、期待できないように思う(むしろ争いが長期化する危険があると考える)。もっとも、ビジネス面で言えば、離婚を専門的に扱っている弁護士としては、制度が複雑化する程、差別化が図りやすくなるのではないかと考えている」

「共同親権を認めること自体には賛成。ただ現行制度もそうであるが協議離婚の際に親権者をどうするかを当事者の協議だけで決めることができるというのには問題があると考えています。実際、通常、子が幼少であるときは母親が親権者になるのが望ましいはずですが、協議離婚の場合、父親が親権者になっているという例が少なくありません。これは夫、妻の力関係が影響して決められていることは想像に難くないのであって、そこに共同親権という新たな選択肢も導入されると更に色々と支障が生ずることになるのではないかと思われます」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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