弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 民事・その他
  3. 共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(4)
共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(4)
法務省(キャプテンフック / PIXTA)

共同親権を導入する民法改正要綱案「たたき台」、弁護士たちのコメント全文(4)

コメント全文をご紹介します。

「子の監護権を取得できなかった(できなそうな)親が、共同親権に固執して、離婚問題が長期化する」

「現状から変化はない」

「裁判所の実務が飽和状態になる」

「離婚事件の解決期間がのびる」

「実務的には、離婚後の共同親権の行使態様を巡る紛争が増えるのではないか」

「監護者指定などで争いが激化する」

「共同親権にしてしまった後の紛争の相談が増加すると思われる。単独親権であっても、モラハラ等の場合には、面会交流や子供の教育・入学等についての紛争が存在するのに、共同親権になったら、子供の受験・入学等、期間的にも差し迫ったものについての悪影響が心配である」

「共同親権にするか、監護者をどちらにするかで紛争が長引くと思う」

「従前よりも、離婚時の親権・監護権調整や、離婚後の紛争が増え、家事調停を申し立てる件数が大幅に増える可能性があるが、現在の家庭裁判所では、それに対応する機能が無い」

「離婚後も元夫婦の間の調整を続ける役割を弁護士が期待されるのではないか。恐らく無償で」

「無駄に共同親権かどうかの争いが増える。面会交流では第三者の立会を求めるケースが多くなると思われるが、実際には、第三者の立会は日程調整や適当な第三者を誰にするのかという点で調整が困難と思われる。面会交流の支援団体を利用するとしても、関西でも少ししかなく、予定が詰まっていることが多い。郊外在住だと、大阪市内の支援団体の利用のためにわざわざ市内まで出向かないといけなくなる」

「離婚成立までの紛争も長引くと思いますし、家裁の申立件数も増加すると思います」

「モラハラ等で苦しいんでいる方が救えにくくなる」

「家裁の人員不足による事件滞留。それによる高葛藤案件の激化」

「家庭裁判所の役割がこれまで以上に重要となると思われるが、実態に即した判断が可能となるよう代理人の役割もより重くなるのではないかと思う」

「親権に関する争いが頻発することになると思われる」

「前述の通り、家庭裁判所へのちょ尾亭・審判の申し立てが、急増すると思われる」

「質問が弁護士の業務への影響という趣旨であれば、子をめぐる紛争の解決がより複雑化・長期化するものと予想される」

「紛争長期化により弁護士の仕事が増える」

「子の監護や面会交流等の争いがより一層激化する。また子の金銭管理や進学や入学等をめぐっても、円滑に手続きを取ることが困難になる」

「争点が複雑化する。共同親権としたが離婚後もDVを受けているという相談が出てくると思う」

●その他、エピソードや意見など

その他のエピソードや意見を尋ねたところ、以下の声が寄せられました。弁護士から寄せられたコメント全文を紹介します。

「調査官の調査結果報告書がひどすぎた事件が複数あった。現に子が手元にいる親を優先させるという結論ありきで、「子の福祉」に結論づけているとしか思えなかった」

「父母の関係が良好であれば共同親権は必要ない。良好でない場合は共同親権など行使できない」

「こんなに離別後の特に母子世帯が困窮していると報道される中、諸外国に並べという掛け声のもと、諸外国では当たり前の養育費立替制度が導入されない一方で、統一協会や安倍元総理が主導した家父長制に満ち満ちた離婚防止法案のようなものが成立するとは、こういうことをやっているから日本は滅びの一途をたどるのだろうと思う。結婚罰、出産罰のようでもあり、結婚や出産をする人が減っていくことに拍車をかけるものだと考える」

「そもそも共同親権を導入しなくても、現状でも円満離婚した場合は親権者以外の親も面会交流は十分にできている感覚がある。仮にそのような現状ではないならば、統計データをきちんと取り、客観的指標に基づき、議論をすべき。また、諸外国で共同親権を導入し、その後の調査結果などが徐々に公表されており、特にイギリスの調査報告によれば、共同親権の問題点が如実に表れているのに、今更共同親権にするとかどういった了見なのか問い質したい」

「家族法の学者が、この問題になるととたんにバグっているように感じる。脳内で考えた素晴らしき世界を押しつけて、いわば、家族法分野における内田貴的存在になることを夢見ているのではないかと疑っている。誰とは言わないが、この一事をもって晩節を汚すのではないかと憂う」

「共同親権になれば、子どもの連れ去りや面会できないということが無くなるかのように言われているが、親権とそれらの問題は関係がないということが、もっと明らかにされるべきだと思う」

「木村草太東京都立大学教授のSNS発信が参考になる」

「離婚後共同親権推進派が唱える言説、実態、背景をマスメディアは丁寧に調査・分析し、情報公開すべき」

「DVに限らず、離婚する夫婦は互いに「二度と会いたくない」という心境にあります。親としての責任という考えで、共同して養育していくための政策を考えるのは大切で、常に働きかけをし、親子交流の支援もしておりますが、とても大変です。弁護士のボランティア精神にこれ以上頼らないでほしい」

「DVや虐待があまりにも軽視されている実情に歯がゆさを覚える。子どものためといいながら実情は子どもに会いたい親の気持ちを優先した制度を導入しようとしていると思える」

「直近では橋本棋士の事件、医療行為に対する別居親からの損害賠償請求などがあり、数年前では面会交流中の父子無理心中事件などがありましたが、こうしたケースがものすごく増えるだろうと思います。ここまで行かなくとも、父母の紛争が離婚後も継続することで板挟みになり苦しむ子どもは増えると思います」

「現に進行中の離婚訴訟において、モラハラ加害者が、共同親権導入を理由に、離婚訴訟で面会交流についても付帯処分の申立てをしています。被害者側にとっては、それ自体が脅威となり、心の健康被害の回復が遅れると言う事態が起きています。今回の叩き台は、DV事案への配慮の点で以前よりも前進していると感じますが、家裁に持ち込まれる事案が増える可能性が高く、現状では家裁が機能不全に陥りはしないか心配です。このような法制度を導入する以上、受け皿となる司法機関の人的体制も充実させることが急務となります。それなくして、法制度だけ先にできると、結局は声の小さな人は被害が大きくても家裁に聞き届けられず、見捨てられることになるからです」

「現状、当職の知る限り、DV離婚の理由は、子どもへの被害を避けるためということが多いです。また、子どもを口実に、監護親に対してストーカー的な行為を続ける非監護親にも多く遭遇してきています。実情をしっかり把握して制度設計をしてほしいです」

「現場でDVや虐待ケースを扱う弁護士の意見を聞いてほしい。今の議論は現場を知らない学者主導で進んでおり大変違和感がある」

「共同親権推進はからの妨害行為により、被支配側を担当している代理人が告訴されたり事務所の前で罵詈雑言の街宣をやられる等業務妨害をされたり、ネットで炎上させられたりしており、そのことが共同親権の暴力性の証左だと思う。パブコメの結果を見ても、反対派が推進派を大きく上回るのに、その事実がここまで隠されてきていたことは、支配側と被支配側の政治力・資金力の差によるもの。被支配側は、子供を抱え、経済的に困窮し、支配側からの攻撃におびえているため、一切顔や名前を出せず、ロビー活動等もできない」

「日本社会は現在でも育児の負担について母親への偏りが大きすぎる。養育費確保等によって経済面での負担が仮に軽減したとしても、実際に監護者として日々過大な負担を担っている母親が、共同親権や面会交流の試行制度の導入によって更に負担を強いられ、ひいては監護されている子どもにしわ寄せがゆくことは明らかである。日本社会の母子家庭の実情、家事事件実務におけるDV虐待被害の実情を認識していない家事法制部会の委員(学者)や一部の政治家(実情と乖離したあるべき家庭について幻想・イデオロギーを抱いている政治家)によって、現在の実務を改悪すべきではない」

「パブコメの意見をしっかり踏まえた丁寧な議論が必要です」

「うちは事実婚で、父親は子どもたちと氏も異なり、親権者でも無かったけれども、子どもたちを父親が養育するのに不都合はなかった(保育園、病院、学校、塾、習い事、その他生活全般)。円満離婚で共同養育するのに、共同親権は不要である」

「共同親権という「美しい絵」は幻想に過ぎず、最高裁をはじめとした実際の現場では、当事者の紛争が増え、不幸な離婚が増えることになる」

「裁判所は和解させようと、親権や面会交流について強く主張する夫側の意見を尊重しすぎる傾向がある。DVや虐待について明確な証拠がなく相手方が否認すると、結果としてDVがなかったことを前提に話がすすんでしまう。これでは子どもの利益を害することになると思う」

「理念として「可能な限り離婚後も協力して育児をするよう努める」といった規定ならよいが、結局は別居親に干渉する権利を与え、同居親の負担だけが増える。そうなると結局同居親と暮らす子供の生活環境を悪化させることになる」

「離婚後、親が単独で決めれることと、共同で決めなければならないことの区別がはっきりしていないため、学校、進学、医療等で子の利益が守られない」

「夫からのDVがあり、やむを得ず親権(父)と監護権(母)と分けて協議離婚した事案で(双方代理人の関与無し)、離婚後に父母の紛争が生じて母子で避難をしたが、親権者が協力しないことによって、子どもの転校を教育委員会が認めず、双方に代理人が就き、裁判所が介入するまで学校に通えない事態が起こった。転校は日常の行為には当たらないものと思われる。離婚後共同親権が導入されると親権の不適切な行使による子どもの権利侵害の増加が危惧される。そして、それに対する裁判所の対応は非常に遅い。こども基本法はできたが、内容は不十分であり、こどもコミッショナー制度も導入が見送られた。子どもの権利の保障が不十分な状況を改善しないままに、親の支配権を強めるような離婚後共同親権の話が進むことには違和感がある」

「法制審に随行したり議事録を読むと、法務省は何ら立法事実を何ら明らかにしていないし、慎重意見・反対意見がでても無視し、まともな議論・検討をしていない。他国の失敗にも学んでいない。まったく結論ありき。こんなやり方で民事基本法を変えてはならない」

「DVを立証できない、DVとまでは言えない事案こそ、父母間の対立、葛藤への対応に困難が生じている。共同親権は、こういった事案への有効な方策とはならない」

「法制審の進め方は、共同親権導入ありきで進んでおり手続上大きな問題がある。2月に実施されたパブコメの内容が8月29日まで隠されていた。ふたをあけてみたら、個人意見は、共同親権に反対し現状のままを希望するものが、共同親権賛成意見の2倍もあった。DVモラハラ元配偶者と共同親権になってしまうことを怖れる切実な声が多数寄せられていたのである。その公表をしないまま、法務省は、このようなたたき台を作って公表した。許されざるパブコメ軽視で、参事官と部会長は更迭されるべきだと思う。このような手続上の問題は、共同親権ありきで進められていることを裏付けるといえる」

「別居親の医療同意権を侵害したと主張された経験があるが、病気の子を放置しておけない。医療についての方針など、親権者ではなく、監護者に決めさせないと、医療機関が巻き込まれるなどおかしなことになると思う」

「およそたたき台とも呼べない案であるが、夫婦関係と親子関係は別のものであるという前提で、諸外国の法令など多数の参考に出来る事例がある以上、徹底的に検証し直し、夫婦関係の変化が親子関係に影響を与えない形での共同親権とすべきである」

「とにかく実務家がもっと声をあげて、社会(市民や学者等)にひろくこの問題を知ってもらい、なんとか良識ある政治家にこの問題が伝わり、拙速な議論が止まることをただ願うのみである。海外でも共同親権は失敗であったと言われている。こうした話を丁寧に取り上げるマスコミ、情報発信を期待する。そしてこうした制度設計を仮に考えるのであれば、もっと(離婚)当事者だけにその問題を押し付けるのではなく、官民をあげて離婚家庭をフォローする仕組みを同時に構築しなければ、破綻してしまうことを真剣に知るべきだと思います。現在の単独親権で何が問題か?ということを改めて声を大にして申し上げたい」

「共同親権の問題と、面会交流がうまくいかない問題や養育費の不払いの問題は別問題。子どものためというなら、共同親権について、もっと子どもの意見を聞くべき」

「苛烈な弁護士活動が男女とも心配。家族法活動の倫理が必要だと思う。弁護士もトラブルに巻き込まれることを懸念するから」

「少年事件を多数担当しており、その多数が母子家庭、父子家庭である現実を目の当たりにしている。その中の一定数は、親権者とならなかった親に複雑な思いを抱いている。共同親権にすることで、離婚に巻き込まれた子供が、離婚後も父母双方から変わらぬ愛情を注がれていると感じることができるようになること、これによりそれらの子供たちが非行に走らないようになることを切に願っている」

「うまく関われるケースは法改正なくてもうまくいく。紛争事案の紛争が激化して子供が不安定に置かれる」

「裁判所に係属している事案において、一方が共同親権が導入されると期待し、時間伸ばしをした(話し合いや和解を続けていたのにギリギリのところでちゃぶ台返しを繰り返して、事件を長期化させた。)」

「家裁はすでにパンクしており、調停前置制度自体機能不全に陥っている感があります。さらにトラブルが増せば、新制度とは関係のない従来の実務にも悪影響が出るのではと懸念しています」

「養育費のさだめについては賛成」

「離婚訴訟で親権取得を望む父親から、法改正で共同親権が施行されるまで訴訟を引き延ばして欲しいとの要望を受けたことがある」

「面会交流は子の利益の観点から制限されるべき場合がある,というだけで,誹謗中傷され,攻撃を受ける。子連れ別居を犯罪と言われることで,子どもを連れて逃げていいのか困惑している母親,DVとして保護しながらも,一方で子連れ別居した母親を誘拐犯として告訴された場合に受理しないといけないという警察官が,困惑している状況を聞いている」

「私は男性弁護士でビジネス中心に仕事をしているが,同時に若い頃から多数の離婚事件を担当し,子供の面会交流にも立ち会っている。4歳から18歳まで無償で補助した者も複数いる。感動的な体験もしたが,面会交流には補助者が必要なことが多い。面会交流の補助者が何人確保できるのか。現場に来て子供の面会交流に立ち会ってから立法を検討して欲しい。あまりに現実を知らないのではないかと強く疑問がある」

「同居親による情報提供が乏しかったり、第三者機関が乏しく情報の適切な橋渡しができないなど、非同居親への配慮が足りないと思うことは多々あります。ただ、それと共同親権は全くの別物で、共同親権を導入すれば、紛争の激化・長期化・力の強い者の意思が通りやすくなる、ということになると思います。共同親権によるメリットが見当たらないのに、共同親権を導入するというのは、離婚する当事者にとっても、家庭裁判所にとっても、迷惑な話だと思います」

「子の監護を日常生活で共同ですることはあり得ないから、結局進学先とかを相談しながら共同で、と言うことになるのであろうが、普段、別に暮らしていて、その時だけ口出しすることになり、紛争になることが増えるのではないか」

「現在は、離婚後は単独親権なので、子供の親権の取り合いが深刻である。いずれかに決めかねる場合も結構ある。共同親権の選択肢ができれば、親権の取り合い件数が減少するのではないか」

「普通に話し合って協議離婚できる夫婦にとっては深刻な問題ではないかもしれませんが、弁護士に依頼するような事案では、より紛争が深刻になると思います。家庭裁判所が正常に機能すれば良いですが、裁判官も調査官も均一な質を保っているとは言い難いので、そこが不安です」

「本当に、あまりにも唐突に議論が始まり、あまりにも性急に結論を出そうとしている。養育費の支払いの率が少ないのは共同親権でないからではない。共同親権という概念から、理想的な離婚後の両親と子の関係が自然に生まれるわけではない。今一度、現実に起きている問題、具体的な事実に即して本当に必要な制度をきちんと検討すべき。諸外国との比較についても親権の概念と共同養育の概念等が十分に分析、検討されずにおこなわれているように見受けられ、深まった比較検討がなされず「日本は諸外国に遅れている」という誤った認識になってしまっているのは非常に危険だと思う」

「共同親権を導入する立法事実が存在しない。離婚事件で,共同親権制度があったらと思ったことがない。子は父親と母親によって養育されるべきというバイアスがある」

「DV虐待からの非難ができにくくなる。現在も実施誘拐などと論難される。子どもが会いたくないケースでは監護親による片親疎外と主張される、こういったことがされにひどくなり、監護親と子を追いつめる」

「ハーグ条約の二の舞になるので、共同親権については反対すべきである」

「少子化による社会問題が現実化していく。子どもは国家の宝なので、改正の方針には諸手を挙げて賛成です」

「面会交流を名目として、因縁を付ける暴力夫と戦う日々である」

「単独親権の下でも、元夫婦間で良好な関係さえ築けていれば、共同して子の監護に関わることは可能であるはず。それができていない一部の問題ある親が、自らのプライドを守り子や元配偶者をコントロールしようとして、共同親権を声高に叫んでいると感じている。実に怖い。Twitter(X)には、そういう怖い親がたくさんおり、全く聞く耳を持たないことから、彼らと共同親権を行使するのは絶対に不可能と考えている」

「共同親権の導入には絶対反対です。今でも上手くやっている元夫婦は実質的に共同親権のようなものであり、わざわざ法律で定める必要はない。上手くやれない当事者の一方が強権的に親権を取ろうとしているだけのことであり、そのような無理矢理な親権取得は当事者に何の利益ももたらさない」

「父母双方の話合いや協議、面会交流が上手く行っている案件であれば、『親権』という抽象的権利の有無にかかわらず、基本的には話合いや協議、学費の分担等も自然と行われていると思われ、共同親権を導入する必要性はそれほど強くないと思われる。おそらく、共同親権の必要性を主張する親側は、そのような父母間での協力関係・協議が上手く持てないために共同親権という権利関係を通じて自己の権利を実現したいのだと思われるが、そのような案件ほど困難案件・要注意案件である。得られるメリット(多数派の漠然とした安心感)と、デメリット(DV・モラハラ等の深刻な案件がさらに極めて困難になること、危険性)とをよく吟味して最終的な法改正の判断をして頂きたいと思う」

「夫婦がお互いに協力関係を築けているケースでは、現行制度の元でも、特段の不都合なく離婚後も双方が子どもに関与している(事実上、共同監護が実施されている)。法改正は「夫婦がお互いに協力関係を築けないケース」について、夫婦間の摩擦を離婚後も長期的に継続化することになってしまい、結局、子どもの利益を損なう結果となってしまうように思う」

「「共同親権」というが、非監護親が共同親権をもったとしても、現実に共同親権を行使する場面はかなり限定的だと思われる。現在でも、離婚前の非監護親は親権者であるが、「親権者」として何かできることがあるかといわれるとほとんど無い。無駄に「共同親権者」となること(あるいは相手方が「共同親権者」となることを否定すること)にこだわるケースが増えるのではないかと懸念する」

「DV被害者は、圧倒的に女性の方が多いと実感しています。男女の賃金格差も相俟って、「偉そうな口をきくなら、俺以上に稼いでみろ」と言われ、家事・育児の負担を背負いこみ、自分は無能でだめな人間だと自己肯定感が低く、また夫の言うことには従わなければならないという刷り込みで行動している女性達をたくさん見ていました。離婚を決意しているのに、ここまで権利を主張すると夫を怒らせるのではないか、離婚に応じてくれるなら・親権を妻に渡してくれるなら、夫の要求に従おう、という妻はたくさんいます。自分がDV被害を受けていることに気がついていない人も多いのです。また、妻達の多くは収入が低く、たとえ法テラスを利用しても弁護士費用が高いと考え、弁護士に依頼しない人も多いです。女性相談支援員や弁護士によるエンパワーメントがないDV被害者は、共同親権か単独親権かを冷静に選んだり、家庭裁判所で争おうという力を持てません。具体的なエピソードでいえば、離婚したいというお前の望みを叶えてやるんだから、経済的なことを要求するなと言われ、財産分与も求めなかったケース、離婚しても子と自由に会わせる・養育費は月1万円の条件を公正証書にするなら離婚してやると言われ、その通りにしたために離婚後も元夫が子と会うために自分の家に自由に出入りすることを許容せざるを得なかったケース、離婚しても子が自由に行き来できるように同じ町内に転居先を構えろと言われ、子が好きなおもちゃやゲーム機を父宅に備え、子が父宅に入り浸るように仕向けたケース等々、いろいろあります。また、これまでは、深刻なDV被害を受けている人ほど、夫の側では、夫に対して離婚を切り出すことができませんでした。避難して、自分と子の状態を整えてから、離婚を申し出ている人が多数います。親権について話し合わずに子を連れて別居したことが、一定の場合は許容される制度を設ける必要があると思います」

「現在、家裁では、会わせるべき親にはきちんと会わせる手続きが出来ている。裁判手続きの中で会えない親は、自分の主張だけを振りかざし、監護親を尊重しないDV気質のある方だからである。よって、今の会えない問題は、共同親権にすれば解決する問題ではなく、非監護者自身の問題である。面会交流もサポート体制が乏しいので、現状の制度の中で、より充実させてほしい。あと、子どもの養育にお金がとてもかかるため、国として教育費の無償化、扶養的財産分与の充実、養育費の増額等、監護親が子育てを安心して出来るように、金銭的にも精神的にもしっかり支える制度にお金や時間をかけてほしいです」

「感情的な解決と法的正しさの矛盾により、事案の解決が困難になるケースが多い。例えば不貞をされた当事者がいつまで経っても被害感情から抜け出すことをせず、法的には慰謝料を取得して解決しているにもかかわらず被害感情を親権問題にぶつける等してなかなか解決しない、等」

「立法事実のない法改正が、偏った思想により進められることに恐怖を覚える」

「離婚後共同親権の制度が導入されていないにもかかわらず、面会交流の事件において、DV加害者である別居親から、離婚後は、共同親権になるのだから、面会交流は、自由にいつでもできると主張されたことがある」

「「法定養育費」なるものが、どのようなものか、よくわからない。実効性のある制度ができるのであればその点は賛成する。先取特権はあまり意味がないのではないか。国が養育費を一旦立て替えるような制度の導入がベストだと思う。制度の導入によって、弁護士の仕事が減ることになっても全く構わない」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする