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元TOKIO山口達也さん「360日以上、理性を壊すため飲酒した」アルコール依存の体験語る
アルコール依存症について話す山口達也さん(特定非営利活動法人ASK提供)

元TOKIO山口達也さん「360日以上、理性を壊すため飲酒した」アルコール依存の体験語る

「TOKIO」の元メンバー、山口達也さんが4月29日、アルコール依存症と飲酒運転について考えるオンラインイベントに出演した。

酒酔い運転のトラックに追突され娘2人を失った遺族や、依存症専門の精神科医と対談形式で、自身の経験について語った。酒に溺れていたころを「360日以上、理性を壊すために飲んでいたんだと思う。ワーカホリック(仕事中毒)で不安もあった」と振り返った。

このイベントに参加した理由を「飲酒運転撲滅のために自分にできることはなんだろうと考え、遺族の話を聞き、自分の話もして、関わっていくことだと思いました。加害者も被害者も増やさないために力になれたら」と強調した。

●「テレビには映らない心の不安があった」

山口さんは2020年に酒気帯び運転でバイク事故を起こし、道交法違反の疑いで現行犯逮捕、略式起訴された。山口さんによると、この2年ほど前から自己流で断酒をしていたものの、再飲酒(いわゆるスリップ)したのだという。

これを機に入院して依存症を治療。その後は、イベントを主催した特定非営利活動法人「ASK」(今成知美代表)の支援などを受け、自助グループでの活動を続けている。

自助グループで自分のこれまでについて棚卸ししたところ、つぶれるまで飲むなど問題のある飲み方だったころの心の動きを見つめることができたという。

「みなさん、テレビではそうは見えなかっただろうけれど、僕は自分をほめられなくなっていました。仕事も充実しているのに、取り残されているような気分で、何か足りない・劣っていると考えていた」

同じような症状を抱える人と一緒に生活する治療は、当初は恥ずかしかった。でも会ってみたら、赤ら顔の人や粗暴な人ではなく「なんでこの人が?」という人たちだった。「おれもこの人たちと同じだ」と3カ月過ごしたという。

今の自分を「穏やか」と表現し、「これが自分なんだという発見があった。10代のときには飲まなくても楽しかったのに、大人になってからはスポーツ観戦でも映画でも飲まないとと思っていた。でも今は飲まずに泣いたり笑ったりできている」と話した。

飲酒運転について話す(左から)山口達也さん、井上郁美さん(ASK提供)

●「事故当時は酔っているかもわかっていなかった」

1999年の東名高速事故遺族である井上郁美さんとは、飲酒運転事故とアルコール依存症の関係についても話した。

「僕も当時のニュースを『ひどいことがあったものだ』と思っていた。でも、その人間が20数年たって事故を起こしたんです。自分が酔っているかわからない状態でした。防犯カメラ映像を見て、自分のしたことの大きさにだんだんと気づいたんです」

井上さんは、自身の事故の加害者が78歳になったことを明かし「過ちは消せないが、まっとうになることはできる」と説明。「当事者が語ることはすっと入ってくる。せっかくある命を有効に使って、同じような人に聞かせてほしい」と話し、回復できるというメッセージを届けるよう山口さんに期待した。

山口さんは「自助グループはほんの入口です。やめればいいじゃなくて、やめ続けること。そのためには自分にも負荷をかけています。今日『山口達也がこんなこと言ってたな』となにか共感することがあったらアクションしてほしい」と呼びかけた。

山口さんはASK認定「飲酒運転予防インストラクター」などの資格を取得。今年3月には「株式会社山口達也」を設立し、アルコール依存症に関する講演活動を展開することを発表した。

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