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ツイート投稿者を「いきなり提訴」した世耕議員を裁判所が批判、名誉毀損訴訟が異例の和解
会見する(左から)小川弁護士、中野教授、海渡弁護士、新倉修名誉教授(2023年3月17日、弁護士ドットコム撮影)

ツイート投稿者を「いきなり提訴」した世耕議員を裁判所が批判、名誉毀損訴訟が異例の和解

自民党の世耕弘成参院議員に関するツイートをめぐり、名誉毀損で訴えられた青山学院大・中野昌宏教授が反訴していた訴訟は2023年3月17日、東京地裁(古田孝夫裁判長)で和解が成立した。

ツイートは、世耕氏について「原理研究会(旧統一教会)出身だそうですね」などの内容で2018年2月と2019年7月に投稿された。提訴後、安倍晋三元首相の銃殺事件を機に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が広く報じられるようになり、訴訟にも注目が集まっていた。

和解条項で地裁は「公人の政治的姿勢、言動等に関しては、国民の自由な論評、批判が十分に保障されなければならない」と指摘。その上で「その上で(世耕氏側が)事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾」と表明した。

弁護団と都内で会見した中野教授は、判決を取るには一層の長期化が懸念されたと説明。「言論封殺させないために何が必要かを考え、和解案でも形として残れば、その足がかりになるのではないか」と強調した。

●「公人による言論封殺は許されない」

反訴状などによると、世耕氏側は原理研への所属を否定し「『統一教会は反社会的な団体であるとの印象を抱くものが少なくない』ことから、社会的評価を低下させるもの」と主張。損害賠償150万円のほか、記事の削除や謝罪文掲載を求めていた。

一方、中野教授側は事実を摘示したものではなく論評だと主張。「そもそも"自民党の有力な支持母体"だから社会的評価を下げず、もし評価を下げたとしても真実性・真実相当性がはたらく」として反論、批判した者を黙らせる目的の「スラップ訴訟」だとしていた。

今回、裁判所が公人による安易な提訴に苦言を呈した格好となったことについて、中野教授は「弱い者を解放する反スラップ訴訟法がない日本で、裁判所が配慮してくれた」と安堵の表情で語った。

弁護団も「この和解条項は、公表を前提としたものだということも意味が大きい。(スラップ訴訟は許されないんだという)公人を思いとどまらせる教訓として残ってほしい」(小川隆太郎弁護士)「判決よりいい和解。実質上の完全勝訴です」(海渡雄一弁護士)と評価した。

●「率先して統一教会との関係検証を」

和解条項では、中野教授の当該投稿を削除することでも合意した。世耕氏が法廷で宣誓の上、▽原理研や旧統一教会と一切関係がないこと▽自民党議員として、今後被害者の救済や党と旧統一教会との絶縁を含め必要な調査・対応を行うーと供述したことが前提となっている。

中野教授は、統一教会と自民党の関係について「学会でもメディアでも、提訴当時はタブーだった。その後注目されましたが、まだまだ癒着は解決されていません。世耕さんは関係ないということですから、先陣を切って、萩生田さんや下村さん、細田さん、菅さんらとの関係を検証してほしい」と話した。

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