東京・桜新町にある人気アニメ「サザエさん」の銅像。一家の大黒柱である波平像の「髪の毛」が何者かに引き抜かれていたが、6月8日午後までに修復された。
報道によると、商店街の人が6月3日朝、波平像の「髪の毛」がなくなっているのを確認したという。今回はワカメの髪の毛も抜かれていた。
とても悲しいことに、これまで波平の「髪の毛」は「6回」ほど引き抜かれてきた歴史がある。
桜新町商店街振興組合スタッフのツイートによると、商店街の会費を使って修理しているということだ。金額はざっくり「東京から新幹線で浜松に行けるくらい」。
また、髪の毛が…
— 桜新町商店街振興組合のスタッフ (@sakurashinnmati) June 4, 2022
どうしてこんなことをするんですかね。
商店街会費を使って修理をするのですが、ざっくり東京から新幹線で浜松に行けるくらいの費用必要になります。
楽しみ来られる方もいると思いますので次からは大切にしてあげてくださいね。#サザエさん #波平 #髪の毛 #銅像 #桜新町 pic.twitter.com/bhfa4Fd2Nt
JRおでかけネットで調べると、普通車自由席で7910円、普通車指定席で8240円、グリーン車で1万2100円となっている。いずれにせよ、手痛い支出といえるだろう。
警察への捜査は依頼しない方針のようだが、はたして、銅像から「髪の毛」を抜く行為は法的にどんな責任があるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
●「器物損壊罪」にあたる行為だ
またですか・・・。こういうことは、誰も得しませんので、本当にやめてほしいですね。
まず、他人のものをわざと壊した場合、器物損壊罪(刑法261条)に問われます。
銅像は「器物」にあたりますし、銅像の髪の毛を抜く行為は「物の効用を害する行為」といえるので、器物損壊罪は成立するでしょう。
ただし、この犯罪は親告罪なので(刑法264条)、被害者(商店街)が処罰をもとめないと事件になりません。
ただし、軽そうに思える行為でも、犯罪にあたりうるということは認識してほしいです。
●「髪の毛」を抜く行為は不法行為にもあたる
器物損壊罪は「わざと」(故意)でなければ成立しませんが、民事上の不法行為責任は「うっかり」(過失)でも生じます。
今回のように、波平像の「髪の毛」を抜く行為は不法行為にあたります。したがって、商店街は加害者に対して損害賠償を請求することができます。
しかも、東京から浜松までの新幹線代くらいということなので、それなりの金額が請求できることになります。不法行為の場合、利息は不法行為のときから発生しますので、その請求もできます。
個人的にもセミナーで、磯野家を題材にすることが多く、愛着もあるので、余計に腹が立ちました。いずれにせよ、波平さんの大切な「髪の毛」にイタズラをしないでほしいです。