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両親が「450万円」税金を滞納していた…減額はしてもらえる? 
450万円もの延滞金をどう返済していくのか…(プラナ / PIXTA)

両親が「450万円」税金を滞納していた…減額はしてもらえる? 

両親が多額の税金を滞納してしまっていたことが分かり、困り果てている——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は、両親と姉家族、自分の家族の3世帯で同居しています。最近、両親が固定資産税や市民税、県民税などを滞納しており、延滞金が450万円にもなっていることが分かりました。

両親は75歳でなんとか毎月3万円ずつ返済していますが、450万円には程遠く、相談者らも「両親の生活費をみるので精一杯」とこぼします。

税金の延滞金は交渉して減額してもらう事は出来るのでしょうか。中西祐一弁護士に聞きました。

●解説のポイント

  • ・延滞金率は年14.6%と非常に高い
  • ・延滞金はやむを得ない事由がある場合には、減免することができる
  • ・認められるのは災害や病気、経営していた事業の廃止や生活困窮などの事情

●非常に高い延滞金率が定められている

——そもそも、「延滞金」とはどういうものですか。

「延滞金」とは、都道府県や市町村に納付しなければならない税金を期限までに納付でき なかった場合にペナルティとして発生するものです。

延滞している税金の額に対して、原則として年14.6%という非常に高い延滞金率が定められていますので、数年間、放置してしまうと、支払わなければならない額が倍近くになってしまうことも珍しくありません。

——倍近くというのは大きいですね。減額してもらうことはできるのでしょうか。

この延滞金については、地方税法326条4項(市県民税の場合)や同法369条2項(固定資産税の場合)で、税金を払うことができなかったことについてやむを得ない事由がある場合には、減免することができる、と定められています。

——やむを得ない事由とは、具体的に何になりますか

どのような場合に「やむを得ない事由」があったといえるかの判断は、各市町村に委ねられていますので、違いはありますが、条例などで、災害や病気、経営していた事業の廃止や収入が低いことによる生活困窮などが「やむを得ない事由」にあたるとされていることが多いようです。

相談者のご両親は現在75歳ということですので、例えば、退職して年金生活になった が十分な額ではなく、相談者や姉の援助がなければ生活していけない、などといった事情 があれば、「やむを得ない事由」が認められる可能性があると思われます。

もっとも、「やむを得ない事由」が認められる場合であっても、滞納している税金本体 (本税)を全額納付するか、少なくとも分割払などで納付をしていないと、減免が認めら れないこともあるようです。

ご相談の事例では、毎月3万円ずつ返済しているとのことですが、この返済は、継続する必要があると思われます。

プロフィール

中西 祐一
中西 祐一(なかにし ゆういち)弁護士 中西祐一法律事務所
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。

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