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「生まれ育った日本にいさせて」タイ人少年「退去処分」取り消し請求認められず
ウティナン君(左から2人目)

「生まれ育った日本にいさせて」タイ人少年「退去処分」取り消し請求認められず

日本で生まれ育ったタイ人の少年らが、入国管理局の退去強制処分の取消しを求めていた訴訟で、東京地裁は6月30日、少年側の請求を棄却する判決を下した。少年側は「判決は不当だ」として控訴する方針。

●「在留特別許可」が認められず

この少年は、山梨県甲府市の高校2年ウォン・ウティナン君(16)。2000年に甲府市で生まれたが、タイ人の母親が不法滞在であることなどから、小学校に通わなかった。その後、甲府市の人権団体から日本語の学習支援を受けて中学校に編入し、日本の学校生活にも慣れた。

ウティナン君は2013年夏、東京入国管理局に「在留特別許可」を申請したが、2014年に退去強制処分を下された。ウティナン君と母親は2015年、国を相手取って、処分の取り消しを求めて提訴した。現在は、一時的に入管施設の収容から解放される「仮放免」という状態がつづいている。

●ウティナン君「タイに居場所はない」

東京地裁の岩井伸晃裁判長は判決で、入国管理局が在留特別許可を与えず、退去強制処分を下した処分について、「裁量権の範囲の逸脱や乱用は認められない」として、ウティナン君側の請求を棄却した。

判決後、ウティナン君は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、「十分覚悟していたが、動揺している」と心境を語った。「日本は母国で、タイに行っても知っている人や居場所はない」「このまま日本にいさせてください」と訴えていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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