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「今こそ自国の穀物を守れ」種子法違憲訴訟、山田元農相・平岡元法相らが署名2万提出 
会見する(左から)山田氏、野々山氏、田井氏、平岡氏(2023年2月3日、弁護士ドットコム撮影)

「今こそ自国の穀物を守れ」種子法違憲訴訟、山田元農相・平岡元法相らが署名2万提出 

主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは憲法違反だとして、農家らが国に違憲確認などを求めている訴訟の原告側が2月3日、東京地裁に「安全・安心な食料を得る権利」を認めるよう訴える署名2万3353筆を提出した。

訴訟は2022年10月に結審し、3月24日に判決が言い渡される予定となっている。署名は12月22日から募り、今回は1回目の集計としてまとめた。2月24日まで。

会見には、ともに弁護士で元農相の山田正彦氏、元法相の平岡秀夫氏が登壇。山田氏は「戦後初めて『食の安全の権利』について司法判断がされる大きな裁判だ」と話し、ウクライナ戦争や気候変動などで食糧の安全保障が叫ばれる中、判決に注目してほしいと訴えた。

●全国各地で種子法に代わる条例制定

種子法はコメ、麦、大豆の穀物が対象で、各都道府県の農業試験場などで安定的に種を育てる根拠とされていたが、2018年4月、規制改革の一環として廃止された。専門家や農業者が反発し、31道県で種子法に代わる条例が制定されている(3月に長崎、山口の両県が加わる見通し)。

国の財政措置について調べている平岡氏は「種子の供給事務を対象としていた地方交付税が減らされた」と主張。法廃止後に、種子事業が含まれる「生産流通振興費」が1億円超減っている件を挙げているものの、国からは丁寧な説明がないと指摘する。「行政官として務めていた立場からしても、国は情報を出さず建前論にとどまっています」

原告1533人のうち消費者代表として加わる野々山理恵子さんは「食糧も生き物で、タネは赤ちゃん。各試験場が多様な知見でつくった種子を、工業製品と同じようにグローバル企業に任せることを危惧しています」と語り、飢えのない将来を次世代につなぎたいと訴えた。

弁護団をまとめる田井勝弁護士は「国連総会では小農権利宣言として、種子の権利が採択されています。2019年の提訴以降、戦争やコロナなどで小麦が高騰しました。大事な時にこそ、自国の穀物を守っていく必要がある」と話し、自給率上昇を目指す動きに逆行しているとの見解を示した。

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