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「車いす使わせないのは差別」自力歩行難しい70代受刑者が国賠提訴 岐阜地裁
画像はイメージです(khadoma / PIXTA)

「車いす使わせないのは差別」自力歩行難しい70代受刑者が国賠提訴 岐阜地裁

自力での歩行が困難なのに、車いすの貸与が認められなかったなどとして、岐阜刑務所に服役中の男性受刑者(70代)が4月8日、国に154万円の損害賠償を求める訴訟を岐阜地裁におこした。刑務所職員から指の骨が変形する傷害を負わされたとも主張している。

男性は足腰が悪く、もともと収容されていた大阪刑務所では車いすを使っていた。しかし、2011年に移送された岐阜刑務所は男性の申請を却下し続けた。

2014年に歩行器の使用が認められるまで、男性は所内をはって移動していたが、長距離は難しいため、戸外運動が約3年間できず、入浴も2年超できない期間があったという。

歩行器も男性の身体にあったものではなかったといい、フレーム部分との摩擦で両肘が出血・化膿し、生活に支障をきたしたという。男性はその後も車いすの貸与を求めたが、2021年まで認められなかった。男性側はこうした対応が障害者差別にあたるなどと主張する。

また、2020年10月には、刑務所職員が閉めた居室の食器口に、男性の左手人差し指が挟まれ、指先の骨が変形する出来事があったという。男性は職員に薬がほしいと伝えるため、食器口の縁をつかんで身体を支えていたといい、職員の行為は故意だったと主張している。

刑務所での車いす使用をめぐっては、徳島刑務所の男性受刑者も、許可がおりず戸外運動が約9年間できなかったなどとして、2021年に国賠訴訟を起こしている。

弁護士ドットコムニュースの取材に対し、岐阜刑務所は「訴状が届いていないのでコメントはできない」と回答した。

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