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家賃滞納で「夜逃げ」、待ち受けるリスク…何年隠れ続ければ、逃げ切れる?
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家賃滞納で「夜逃げ」、待ち受けるリスク…何年隠れ続ければ、逃げ切れる?

1年ほど前に家賃滞納で夜逃げをしてしまった。電話がかかってきているがどうしたらいいのかーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、このような相談が寄せられました。

相談者は、家賃を2〜3か月滞納して荷物を置いたまま出て来たそうです。しかし最近になって電話がかかってくるようになりました。他にも借金をしているという状態で、「返済したいとは思うのですが、毎月キツいです」と言います。

昔の小説や映画ではよく「夜逃げ」シーンが見受けられましたが、現代において家賃滞納から逃れることは可能なのでしょうか。後から見つかった時に、どのようなリスクが待ち受けているのでしょうか。弁護士に聞きました。

●裁判を提起され判決が確定すると時効は延長される

夜逃げすれば、家賃からも逃れられるのでしょうか。

「家賃の消滅時効期間は5年です。そのため、支払時期から5年を経過すれば、賃貸人(貸主)からの請求に対して消滅時効を主張して支払いを免れることができます。

ただ、家賃の支払時期から5年を経過する前に、賃貸人が賃借人(借主)に対し滞納家賃の支払いを求める裁判を起こすと時効は中断されます。そして、その判決が確定しますと、消滅時効期間は判決確定から10年となります。こうなると、賃借人は、確定判決によって預貯金などの財産を差し押さえられるリスクを絶えず負うことになります。

さらに、賃貸人は、判決確定後10年を経過する前に、消滅時効期間を延長するために更に裁判を起こすことが可能です。その場合は、消滅時効期間は、その判決が確定してから更に10年となります」

滞納賃料を請求できる期限は5年だとはいっても、裁判を提起して判決が確定すると時効期間は延長していくということですね。

「はい。また、賃借人ご本人が亡くなった場合でも、賃借人の子どもなど相続人が滞納家賃支払い義務を引き継ぐことになってしまいます」

●支払い義務を逃れるには自己破産するしかない

荷物をそのままにして夜逃げした場合、どうなりますか。

「その場合、賃貸人は、他の人に賃貸するために、当該賃借人との賃貸借契約を解除して終了させ、部屋を明け渡すことを求める裁判を起こすことになるでしょう。賃貸人が勝手に荷物を処分することは原則として認められないためです。

その判決が確定すると、賃貸人は、建物明け渡しの強制執行をすることが可能になります。その場合、当該賃借人は、逃げるまでの滞納家賃に加え、建物明け渡し完了までの家賃や明け渡しが遅延した損害金、荷物の保管費用等の強制執行にかかった費用などについても支払いの義務を負うことになります」

荷物を置いたままでは他の人に賃貸もできないため、莫大な費用が請求されるということですね。

「そうなります。たとえ、賃借人が荷物を全て持って逃げた場合でも、賃貸人は、その賃借人との賃貸借契約を解除して終了させることになり、少なくとも、契約終了時点までの家賃について支払いの義務を負うことになります。

賃借人が、これらの支払義務から法的に逃れるためには、自己破産を申立て、免責決定を得るしかないものと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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