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ライブハウスなのに「ジャンプ禁止」!? 騒音や振動の対策はどこまでやるべき?
ライブでは、観客が曲にあわせて「飛び跳ねる」ことがある

ライブハウスなのに「ジャンプ禁止」!? 騒音や振動の対策はどこまでやるべき?

関西の有名ライブハウスで、曲にあわせて「飛び跳ねる」のを禁止する告知がされ、ネット上で話題になっている。

7月中旬、ライブハウス会場に置いてあったという看板の画像がツイッターに投稿された。コンサート中の飛び跳ね、いわゆるジャンピングの禁止を呼びかける内容で、禁止の理由は近隣の大手企業のビルが揺れ、そこで働く社員に迷惑がかかるから――と説明している。ツイッターでは、画像に対して「ライブハウスなのにジャンプ禁止?」「違うビルなのに、そんなに揺れるのか」と驚く声があがっていた。

このライブハウスは収容人数が立ち見で2000人以上とかなり大型だが、ライブをめぐっては規模にかかわらず、騒音や振動が元で近隣トラブルになることはままある。一般的に、ライブハウス側としては振動騒音対策はどこまで行わなければならないのだろうか。公害や環境の問題にくわしい山之内桂弁護士に聞いた。

●騒音・振動の防止義務は「後から立地する側」にある

「騒音・振動は複雑な物理現象で、一定の条件がそろえば、容易に伝わってしまいます。かつて大阪ではドーム球場で、コンサートでのジャンプによる振動問題が起きたことがあり、その会場は現在でもジャンプ禁止となっています」

――ライブハウスも客にジャンプするなと言える?

「危険な行為や、周囲の迷惑になる行為を禁止することは、当然可能です。ただ、アーティストによっては、いわゆる『タテ乗り』や『ジャンプ』が必須とみなされているような場合もあります。

もし、わざわざそういったアーティストを呼んでいるにもかかわらず、十分な告知もしないでジャンプを禁止すれば、客に対するライブハウス側の債務不履行と言える場合もあるのではないでしょうか」

――では、ライブハウスには耐震防音の対策がされていて、逆に、周囲の建物が古いという場合でも、ライブハウス側の責任となる?

「原則として、騒音・振動等を防止する義務は『後から立地する側』にあります。ライブハウスが後から出店したのであれば、建物や設備について、十分な対策をする必要があります。

ライブハウス側が出店を決める際、築年の古い雑居ビルでは建物の構造自体がぜい弱で、防音・防振対策に限界があるので、避けるべきでしょう。

新しいビルに入る場合でも、防音・防振対策の専門業者数社の見積もりを取り、値段よりも対策項目の充実を最優先に判断すべきだと言えます」

――ライブハウス側は、どこまでやれば責任を果たしたことになる?

「まずは、騒音・振動の大きさを、適用される条例の規制範囲内に抑える必要があります。環境基準への適合も被害側の受忍限度を判断する一つの要素です。ただし、問題はそれだけではありません。実は振動・騒音問題では、近隣との関係性が非常に大事なのです。

もし近隣の人が、ライブ客のマナー違反や、店員の態度などで精神的な苦痛を感じていれば、騒音や振動についても感覚的に増幅されて受け止められてしまうからです。

ライブハウス側はこういった点についても十分に気をつけて、近隣とよい関係を保てるように、あらゆる努力を続けていく必要があります」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

山之内 桂
山之内 桂(やまのうち かつら)弁護士 梅新東法律事務所
1969年生まれ。宮崎県出身。早稲田大学法学部卒。司法修習50期、JELF(日本環境法律家連盟)正会員。大阪医療問題研究会会員。医療事故情報センター正会員。

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