2019年02月25日 09時51分

買った車はまさかの「盗難車」? 逮捕された夫は「身に覚えはない」、揺れる一家

買った車はまさかの「盗難車」? 逮捕された夫は「身に覚えはない」、揺れる一家
写真はイメージです(KY/ PIXTA)

ある日、家族が身に覚えのない罪で逮捕されたらーー。弁護士ドットコムに、盗品等運搬の容疑で夫が逮捕されたという女性から相談が寄せられました。

女性によると、夫は知人から車を買い、妻である女性と子どもの3人で取りに行ったとのこと。車のナンバープレートは偽造されたものだったようですが、夫はまったく知らなかったといいます。また、夫は警察の取調べに「盗難車だと知っていれば、家族を連れて取りに行かない」と話しているそうです。

「夫が逮捕された翌日に、10日間の勾留が決まりました。もうすぐ10日になりますが、夫は出てこられるのでしょうか」と女性は心配しています。家族が身に覚えのない罪で逮捕されてしまった場合、できることはあるのでしょうか。刑事事件に詳しい星野学弁護士に聞きました。

●刑事弁護は「時間」との勝負、当番弁護士の要請を

ーー身に覚えのない罪で夫が逮捕されてしまった場合、妻にできることはありますか

「刑事弁護は『時間』との勝負です。

たとえば、警察官から『この車は知人から買ったんだよな。その知人は結構やんちゃしてるよな。しかも相場よりかなり安いし、オレだったらかなりヤバい車だと思うけど、あなたも実は盗んだ車だっていうのは薄々気付いていたんだろ。正直にいえば反省していることになるけど、盗品だと知らなかったと言い続ければ、無罪を争って何年も裁判が続く可能性があるぞ』などと言われたとします。

そして、本当は盗品だなんて思っていなかったのに、怖くなって盗品と知っていたと認めてしまったとしたら?そして、弁護士がついたのはその後だったとしたら?そんなふうに考えてみると、ぞっとしますね」

ーーはい、ぞっとします

「夫が身に覚えのない罪で逮捕されたとき、まず妻がすべきことは、逮捕された夫(以下「被疑者」といいます)がいる警察署を管轄する弁護士会に『当番弁護士』の派遣を要請することです。

これは、弁護士が被疑者と面会し、アドバイスをする制度で初回は無料です。弁護士が事案の概要を聞き取り、家族に報告をしてくれます」

●刑事弁護人は「当番弁護士」でなくともよい

ーーつぎにおこなうことは、刑事弁護人の選任ですね。「当番弁護士」以外の弁護士を選任することはできますか

「必ずしも当番弁護士を刑事弁護人に選任する必要はありません。なぜなら、面会に行った当番弁護士が刑事弁護人として優秀とは限らないからです。

たとえば、被疑者が犯行を認めていない事件(否認事件)は扱うことができない(扱ったことがない)というような弁護士は論外でしょう。

刑事弁護の初動では、(1)強硬な警察の取調べへの対応と(2)身柄拘束をさせない、あるいは身柄拘束状態から早期に解放することが必要です。刑事弁護人を選ぶ際にはこれらについて、具体的な弁護方針(これから何をするのかできるのか)を確認してみるのがよいでしょう」

ーー刑事弁護人を選ぶにあたって、注意すべき点はありますか

「(1)について『本人の頑張り次第ですね』などと発言する弁護人は選ばない方がよいでしょう。『取調べの可視化の申入れ』などという言葉が出たら、刑事弁護に慣れた人といえます。

(2)については『否認している以上、勾留はやむを得ない』というような発言をする弁護人は避けましょう。

刑事弁護人の仕事は労力を惜しまず、担当検察官に対しては『勾留請求をするな』、担当裁判官に対しては『勾留決定を出すな』と働きかけることです。

勾留決定が出てしまった場合は、被疑者が逃亡しないことを示す証拠等を作成し、裁判所に異議申立て(準抗告手続)をします。

弁護人からこういった説明がされた場合は、ある程度安心でしょう」

●できるだけ早期の解放を目指す

ーー相談者の女性は、夫が今後どうなってしまうのかを心配しているようです。今後の刑事手続きはどのように進むのでしょうか  

「一般的に、勾留期間は10日間が限度とされています。しかし、検察官の請求により裁判官が更に10日間以内の延長を認めることも多く、例えばせっかく犯罪の疑いがないとして不起訴処分とされても、そのころには既に仕事や周囲の信用を失っている場合もあります。

そこで、刑事弁護人はいったん勾留が決定したとしても、その取消しのため、あるいは勾留延長を阻止するために、身柄拘束状態から早期に解放する手続をとっていく必要があります」

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

星野 学弁護士
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。

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