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袴田事件を漫画化 ずさんな捜査「わかりやすく描く」、2月15日連載スタート
左から森重水さん、袴田秀子さん

袴田事件を漫画化 ずさんな捜査「わかりやすく描く」、2月15日連載スタート

1966年6月、静岡県清水市(現・静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(82)。事件発生から「無実」を訴え続けて半世紀が過ぎた。

この「袴田事件」を分かりやすく伝えるため、漫画「スプリット・デシジョン 〜袴田巌 無実の元プロボクサー〜」がインターネット上で公開されることが決まった。1月23日、日本プロボクシング協会「袴田巌支援委員会」委員長の新田渉世さんらが東京都内で会見し、明らかにした。

●タイトルに込められた「理不尽な決定に対する批判の思い」

漫画を執筆するのは森重水(もり・しげみ)さん(30)。事件が起きた静岡市清水区出身で、巌さんと同じく元プロボクサーだ。過去に漫画のコンテストで受賞経験がある腕前。森さんにとって、ボクサーとしての巌さんは「尊敬している。雲の上の存在」だという。

この日の会見で、森さんは「自分がすこしでも力になれればという思いで引き受けた。捜査のずさんさ、袴田さんがどういう人生を歩んできたかということについて、すこしでも分かりやすく描いていけたらと思う。1人でも多くの人に読んでもらいたい」と話した。

漫画のタイトル「スプリット・デシジョン」とは、ボクシングで接戦となった際に、3人の審判の判定が2対1に割れたときに使われる言葉だ。

「(袴田さんは)1審で裁判官3人の合議の際に、2対1の多数決によって死刑判決をくだされた。この理不尽な決定に対する批判の思いをこめた」と森さんは述べた。

●「メッセージを発信したい」

2014年に静岡地裁で再審開始が決定し、巌さんは釈放された。ところが、2018年6月、東京高裁が死刑と拘置の執行停止を維持したまま再審開始を取り消した。現在は最高裁の判断を待っている段階だ。

会見には巌さんの姉・秀子さん(85)も出席。「まだ裁判は決まっていない。なんでもやろうと思っている。漫画を通して、メッセージを発信してもらえれば」と期待を込めた。

新田さんは「再収監はあってはならない。ボクシング協会としてできることは『袴田事件』があるということを発信することだと思った。事件をだれでも分かりやすいような形にして、小・中学生や関心がない人にも読んでもらいたい」と語った。

漫画は日本プロボクシング協会の「袴田巌支援委員会ホームページ(http://jpbox.jp/hakamada2.html)」に掲載する。2月15日スタートで、毎月15日に掲載し、全6回の連載となる予定だ。

(弁護士ドットコムニュース)

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