リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われた法人としての大林組(東京都港区)の論告求刑公判が9月13日、東京地裁(鈴木巧裁判長)であった。検察側は罰金2億円を求刑した。弁護側は「当初から談合を主導していない」として情状酌量を求めた。公判は結審し、判決は10月22日に言い渡される。
●大林組総務部長「深く反省している」
この日は大林組の総務部長が会社を代表して法廷に立った。「このような事態となり、誠に残念だ。深く反省している」などと陳謝した。
事件となった理由について、総務部長は「民間発注の工事ということでこれぐらいはいいだろうと、(受注調整に加わった人間の)独占禁止法に対する意識が低くなっていたのかもしれない」。また、JR東海が随意契約ではなく、ゼネコン各社に競争させる入札方式を採用したことで、「受注プレッシャー」が高まったのではないかと釈明した。
●弁護側「大林組は自ら一覧表を当局に提出」
大林組と大成建設、鹿島の3社の担当者が密に連絡を取り合う「3社会」について、弁護側は、もともと大成建設と鹿島が2013年ごろに枠組みを作ったもので、大林組が主導していたわけではないと主張。「品川が一つの工区になったら、大林組は清水建設とJV(共同企業体)を組むようにとまで言われていた」と訴えた。
また、弁護側は、大林組は捜査中のときから自主的に独占禁止法違反の疑いを申告したり、受注調整の記録などを記した「一覧表」を提出したりするなど、捜査当局への協力を重ねてきたと強調。「事件の解明に寄与した」とし、裁判所に対して情状酌量を求めた。
●検察側「性懲りも無く幹部が談合を主導」
検察側は、大林組が清水建設に接触して受注調整の場に誘い入れたと指摘。「酌量の余地はなく、責任は重大。談合体質は根深く、性懲りも無く幹部職員が談合を主導し、再発防止は困難だ」として、罰金2億円を求刑した。
今回の談合事件では、法人としての清水建設にも同額の罰金2億円が求刑されている。他に大成建設の元常務執行役員、鹿島の専任部長と、法人としての両社も起訴されている。
(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama