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2020年06月11日 09時45分

コロナで借金抱えても…弁護士が何度でも伝えたいこと「解決できる」「絶望しないで」

コロナで借金抱えても…弁護士が何度でも伝えたいこと「解決できる」「絶望しないで」
写真はイメージです(taa / PIXTA)

新型コロナウイルスの影響で経済が大きなダメージを受けています。警察庁によると、コロナ問題が本格化した2~4月の自殺者数は前年を下回っていて、4月は1457人(前年比357人減)。しかし今後、急増することが危惧されています。

たとえば、京都大学の藤井聡教授(公共政策論)は、自殺者数をシミュレーションし、2020年は例年2万人のところ、約3万5000~4万人になると予測。少なくとも19年間で14万人、最悪27年間で27万人の自殺者が増える可能性を指摘しています。

経済苦は自殺理由の上位。コロナの影響で収入を失ったり、借金を抱えたりした人に向けて、債務整理に詳しい半田望弁護士は「借金問題は必ず解決できる。死ぬ必要はありません」と呼びかけます。

●すでに解雇や雇い止めの相談が寄せられている

今般の新型コロナウィルス感染症の拡大により、世界の経済が大きな打撃を受けています。日本でも「自粛要請」の対象となった飲食業、接客業や、インバウンド需要の急速な落ち込みの影響を受けた観光業などは直接的な打撃を受けています。

外食産業の営業自粛や学校の休校による給食停止で、農家が出荷するはずだったタマネギなどの野菜が大幅に余っているという報道もあります。間接的にも新型コロナの影響は広い範囲に生じています。

今後、経済の回復が遅れれば、より幅広い業種への影響が危惧されます。その場合、京都大学の藤井教授のシミュレーションが現実になるか、より深刻な事態になる危険性もあります。

すでに、新型コロナを理由とする労働者の解雇や雇い止め、企業の倒産や廃業も少なからず生じています。失業で日々の生活が困難となる人の急激な増加が危惧されるところです。

6月6日には、弁護士や司法書士、医療関係者、労働組合などの有志団体による「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」が全国一斉に実施されました。

全国から寄せられた1125件(速報値)の相談のなかには、生活費や生活保護、家賃・住宅ローンなどの借金問題、労働問題などが多数あったと聞いています。

●危惧される借金を苦に…「自殺する必要はありません」

このような急激な景気の減退局面では、借金問題による自殺の増加も危ぶまれます。借金や失業はお金の問題だけではなく、命の問題にもなりえるのです。

これについては、2月9日の弁護士ドットコムニュースの記事で詳しく述べております。借金を苦にした自殺について、私はこのように話していました。

「破産等により借金を免れることを良しとしない考え方が我が国の価値観に根強く残っていることや、相談窓口にたどり着けなかった、ということも考えられるところです。

『借金を苦にして死ぬ必要はない』、『借金問題は必ず解決できる』と多くの弁護士や司法書士が繰り返し述べてきましたが、法律家としてまだまだ力が及んでいないのかと忸怩たる思いになります」

そこで、改めていま借金で悩んでいる皆様に、「今何をすべきか」をお伝えできればと思います。

●まずは国や自治体による「コロナ支援制度」を利用しよう

今般の新型コロナでは、政府による助成金や支援制度が準備されています。

たとえば、新型コロナの影響で休業・失業し生活費に困った場合に緊急の生活資金を貸し付ける「生活福祉資金貸付制度」や、国や自治体が家賃を支給する「住宅確保給付金」などがあります。

また、住宅ローンについても支払条件の変更などの柔軟な対応を取るよう政府から各金融機関へ要請がなされておりますので、失業や収入の減少で住宅ローンの返済が苦しくなっている場合には、取扱金融機関に返済期間の延長や一時的な返済猶予の相談をすべきです。

このような制度を利用して当面の状況を乗り越えることを検討することも今の状況では重要です。

●借金の解決方法を改めて紹介

上記のようなコロナ禍における特別融資のほか、借金問題については、法的な整理の方法があります。

債務整理の解決方法には大きく「破産手続(免責手続を含む)」、「個人再生手続」、「任意整理手続」の3つがあります。

月々の支払い額を減らせば、総額はそのままでも借金を完済できる場合には「任意整理手続」を選択することもありますが、ほとんどの場合、総額を減らさないと完済は困難です。そこで、「破産」または「個人再生」を選択することがほとんどです。

住宅ローンがある場合でも、個人再生手続で「住宅資金特別条項」を利用すれば、住宅ローンを払いつつ住宅ローン以外の借金の整理することもでき、自宅を手放さなくてもよくなります。

●自殺を選ぶくらいなら自己破産してもいいんだ

目立った資産がなかったり、総額を減額しても生活再建が困難である場合には、破産による解決を勧めています。しかし、「破産すると全財産を失う」ので破産したくないという方がいます。そういった懸念も含めて、破産にはいくつかの「誤解」があります。

個人の場合、手続をとれば、99万円までの財産について手元に残すことが認められています。自宅などの不動産やまとまった資産は手放す必要はありますが、古い年式の車などは、資産価値がないとして処分対象から外されることもあります。

また、破産すると、銀行口座を作れないとか、仕事に就けないということを心配される方もいらっしゃいます。しかし、借り入れやクレジットカード作成以外の銀行取引で制限を受けたという話は聞いたことがありません。就職等で信用情報を参照されることもありません。

●生活保護を受けることもおかしいことじゃない

解雇・失業で当面の生活も困るような状態になった場合には、躊躇せず生活保護の申請も行ってください。今の状況が収まり、再スタートができる状況になるまで、生活保護という形で支援を受けることは何もおかしなことではありません。

コロナが収まり経済状況が回復すれば、一生懸命働いて生活保護で受けた支援の分以上に税金を納めたり、ほかに困っている人に支援の手を差し伸べたりすればいいのです。

借金の整理や生活保護の手続に不安があるのであれば、まずは弁護士に相談してください。弁護士に相談する費用がなければ、「法テラス」による法律援助制度を利用することもできます。

「借金問題はかならず解決できる」

このような状況だからこそ、将来に絶望することなく、まず必要とされることをすべきだということを何度でも皆さんにお伝えできればと思います。

取材協力弁護士

半田 望弁護士
佐賀県小城市出身。主に交通事故や労働問題などの民事事件を取り扱うほか、日本弁護士連合会・接見交通権確立実行委員会の委員をつとめ、刑事弁護・接見交通の問題に力を入れている。また、地元大学で民事訴訟法の講義を担当するなど、各種講義、講演活動も積極的におこなっている。
事務所名:半田法律事務所

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