「全ての働く人の権利が守られるように」労使双方の労働問題に尽力
法律の知識で少しでも多くの人々を救いたい
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学で法律を学び、世の中には法律の知識がないために救いを受けていない人が大勢いると感じました。弁護士になればそうした人たちの役に立てると思い、弁護士を目指すことを決めました。
法曹三者の中で弁護士を選んだのは、弁護士の仕事は幅広いと同時に、自分がやりたい分野に特化することができるからです。救いを必要としている人に手を差し伸べることができることが、弁護士の魅力だと思います。
ーー注力されている分野を教えてください。
労働問題に注力しています。弁護士になる前から関心のあった分野で、使用者側と労働者側のどちらも問題意識を持って取り組んでいます。
労働法では、基本的に労働者が守られています。ですが、実際の労働環境においては使用者側の立場が強く、残業代や労災といった、本来ならば請求できるものが請求できないなど、労働者の権利が守られていない状況が見うけられます。
一方で、使用者側でも、法律に従って社内規則を整備したのにもかかわらず、現場で運用ができていないといった問題や、紛争に発展しないためのリスク管理不足といった問題を抱えた会社が存在します。
労働問題の主な原因は、法律に関する情報格差が大きいことにあると感じています。何をしなければならないのか、何ができるのかという知識不足がトラブルへと発展してしまいます。
そうした知識を埋めるのが弁護士の役目だと思いますので、少しでも不安や違和感を覚えることがあれば、個人・法人問わず気軽に相談してほしいと思っています。
丁寧なヒアリングとアドバイスで、依頼者の悩みを的確に引き出す
ーー仕事をするうえで心がけていることは何ですか?
「依頼者が本当に望んでいることは何か」を理解することが大事だと思っています。そのために、注意深く話を聞くことを心がけています。
依頼者の中には、自分が抱えている問題を上手く言葉で説明できなかったり、そもそも何が問題なのか自分でもわかっていないという人がいます。そのような時にこちらで決めつけてしまわないように注意して、質問をしながら少しずつ問題を具体化していきます。その上で、どんな解決が依頼者の希望に叶うのかを考えるようにしています。
ーーこれまで活動してきた中で印象的だったエピソードはありますか?
印象に残っている事件が二つあります。一つは、ある運送会社でほぼ全ての従業員の残業代を請求した事件です。
難しかったのは20〜30人いる従業員全員に納得を得ることでした。考え方は人それぞれですので、それだけの人数がいるとなかなか意見がまとまりません。1円でも多く残業代が欲しいという人もいれば、会社からの報復を恐れて消極的な人もいます。何度も説明会を開き、皆が納得できる結論に至るように努めました。
争点も難しい事件でした。相手方の運送会社には、残業代を歩合給として支払うという就業規則があったのです。ですから、会社側の主張は「残業代はきちんと払っている」というものでした。
当時、同様の事件が最高裁で争われていて、残業代を歩合給として払うことが認められるのかは判断の難しいところでしたが、私自身は残業代と歩合給はそもそも性質が違うという見解でした。売上によって給与が決められるということは、残業を何時間したとしても、売上が上がらなければ給与は上がりません。それでは、正常に残業代が支払われているとは言えません。
裁判ではその点を中心に主張をし、最終的には勝訴的和解で解決することができました。
ーー印象に残っているもう一つの事件はどのような事件ですか?
大手フランチャイズ企業に加盟したオーナーからの依頼でした。依頼者は銀行から多額の融資を受け、フランチャイズ店として開業したのですが、いざオープンしてみると企業側から伝えられていた売上予測の半分にも満たない売上が続き、閉店を余儀なくされたのです。
コロナ禍の影響があったとはいえ、実績と予測とには大きな差がありました。私は依頼者の希望に従い、フランチャイズ企業に対して損害賠償を請求しました。
損害賠償請求が認められるためには、売上予測に誤りがあることを立証しなければなりません。そのための証拠集めにはとても苦労しました。別のフランチャイズ加盟店から資料を取り寄せたりなど、可能な限りの資料を集め、売上予測の数値には何も根拠がないと主張しました。その結果、勝訴的和解で依頼者の損害を回復することができたのです。
依頼を受けてから和解が成立するまでに3年かかりました。その間に依頼者が受けた損失や喪失感が全て回復できたとは言えません。ですが、依頼者から感謝の言葉をかけてもらい、役に立てたことが実感できてうれしかったです。
少しでも不安や疑問を感じたら相談してほしい
ーー今後の展望についてお聞かせください。
今後はさらに労働問題に力を入れていきたいと考えていて、特に労災申請や退職代行といった分野に積極的に取り組んでいきたいと思っています。
労働問題における情報格差を少しでも是正し、全ての働く人々の権利が正当に守られる社会づくりに貢献したいです。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
法律や制度を知らないがために、請求できるはずのものを請求できていないといった事態は、決して起きてはならないと思っています。「こんなことを相談してもいいのだろうか」と悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、少しでも不安や疑問を感じることがあれば、どんなことでも結構ですので相談してください。