幅広い問題に対応できるゼネラリストでありたい〜依頼者に寄り添い、最善の解決に向けて伴走
勝ち負けではない、柔軟な紛争解決に惹かれて弁護士を志す
ーーまずは、先生が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
弁護士を志したのは大学卒業を控えた4年生のときでした。もともと、国際的な仕事に興味があり、大学に入るまでは、国際関係法を学んで国連やJICAのような機関で働きたいと考えていました。しかし、実際に大学に入ってみると、周りはバイリンガルどころかトリリンガル、マルチリンガル(多言語話者)ばかり。彼ら、彼女らは入学当初から計画的に将来設計をしていて、とても敵わないと思い、早い段階で諦めてしまったんです。
ーーそこで方向転換し、弁護士を目指し始めたのはなぜでしょう。
大学4年生のときに参加した、大学対抗の交渉コンペティションがきっかけです。ハーバード・ロースクールのメソッドを使い、国際法や法慣習を前提として、どのように争いごとを解決できるか、その交渉力を競う大会でした。私はこの大会で企業の法務部と弁護士役を務めました。割り切れない部分を含めて、お互いの将来のために最もよい解決を導きだす前向きな話合いを疑似体験し、すごくいい仕事だなと思ったんです。
そこで、4年生のときに弁護士を志して勉強を始めました。大学を卒業してからは旧司法試験にチャレンジしていたのですが、なかなか結果が出なくて。そこで、ロースクールに入って基礎から徹底的に学びなおし、合格を掴むことができました。
ーー学生時代、勉強以外に打ち込んでいたことはありますか。
私は海外が好きで、大学2年生のときに長期休暇を利用して、バックパックでヨーロッパ一周を決行したんです。もともとは友人5人でオーロラを見に行こうという旅行だったはずが、海外が予想以上に楽しくて、そこからみんなバラバラで好きな場所を目指して、最後この日にイタリアで合流して帰国しようということになりました。
結局合流はできず1人で帰国したのですが、思い通りにいかないところが、またおもしろいんですよね。失敗が新たな経験を呼び寄せてくれるような、素晴らしい経験でした。
私には小さな子どもがいるので、もう少し大きくなったら海外に連れて行って、いろんな経験をさせてあげたいと思っています。
弁護士として向き合う以前に、人として寄り添う
ーー弁護士になられてから、特に注力している分野を教えてください。
企業法務と家族関係に注力しています。
企業法務では、これから成長する中小企業と関わり、規模を拡大していく過程をサポートすることにやりがいを感じます。企業のホームページを見ると、必ず「企業理念」が書いてありますよね。それを読むのが好きなんです。私の考え方に近い内容だとなおさら、読んでいるだけでウキウキして、どうしても応援したくなってしまいます。
家族関係というのは、具体的には、離婚や相続、財産管理などの事件です。家族関係の揉めごとは、血のつながった相手や、生活を共にしている相手との間で起こります。身内同士で憎しみあったり、奪い合ったりすることはとても辛いものです。当事者同士で話し合おうとしても感情的に対立して折り合いがつかないケースが多いため、弁護士が第三者として介入し、論理的に話合いを進められるようサポートします。
ーー依頼者のために心がけていることを教えてください。
家族関係のお悩みを抱える方のなかには、精神的に不安定で、夜も眠れず食事も摂れないという方が少なくありません。そのような方にまず必要なことは、支障なく生活が送れるようになるまで、心身の状態を整えることです。適切なアプローチは、1人ひとり異なります。じっくり時間をかけて話を聞いたり、法律以外の観点からのアドバイスを求める方には、私自身の体験談を交えて話をしたりすることもあります。
もちろん、急を要する場合は順次、法的な手続きを進めていきますが、そうでなければ、まずは心の平穏を取り戻すことが必要です。正常な生活ができるようになってからでなければ、正しい判断はできませんから。弁護士として向き合う以前に、人として寄り添うことを心がけています。
ーー今までに担当された事件のなかで、印象に残っているものはありますか?
弁護士になりたての頃に担当した刑事事件は、今も忘れられません。覚せい剤使用の再犯で逮捕された方の事件でした。弁護人を務めることになり、私が一番知りたいと思ったのは、その方が覚せい剤に手を出した理由です。そこで、本人と交換日記をすることを提案し、日記を通して、今までの人生を振り返ってもらいました。薬物を使うようになった経緯や、やめたくてもやめられない心の葛藤などを書いてもらい、それに対する私の思いも伝えることで、コミュニケーションを深めていきました。
他の弁護士には、「そこまでする必要はない」と言われました。覚せい剤の事件は、だいたいの量刑が決まっていて、頑張って弁護活動をしてもあまり量刑に反映されないことが多いんです。さらに、この方の場合は再犯なので、実刑は避けられない状況でした。しかし私は、本人が更生を望むなら力になりたいと思い、日々、接見や日記を通してやりとりしたり、本人の代わりに更生施設を訪れたりと、できる限りのことをしました。
ーーかなりの時間と労力を費やされたのですね。努力が報われて、執行猶予が付いたのですか?
残念ながら、やはり実刑は避けられませんでした。しかし、模範囚だったので刑期が短縮されて出所が早まりました。そして数年後に、完全に薬物と決別できましたと、お礼に来てくれたんです。周囲から何を言われても信念を貫いてよかった、そう思えた事件でした。
それ以来、何度も薬物犯罪の弁護を担当してきましたが、私が担当した方のなかで、再犯で捕まった方はいません。この事件の経験は弁護士としての基礎になっています。
「法的な問題が起こったら、まず須藤先生」といわれる弁護士に
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごされていますか?
子どもがまだ小さいので、プライベートの時間はほぼ家族との時間に費やしています。昔はかなりの仕事人間でしたが、今は上手く両立できるようになりました。メリハリをつけるようになってからの方が、仕事の効率もよくなったと感じます。
ーー今後の展望をお聞かせください。
弁護士になってから10年間は、とにかく得意・不得意を作らず、どんな分野の依頼も受ける「ゼネラリスト」を目指そうと思って働いてきました。10年経って、自分の興味のある分野や強みはある程度わかってきましたが、だからといって1つの分野に特化するのは自分には向いていないなと今は思っています。
引き続き、「法的な問題があったら、とにかく須藤先生」と思い出していただけるような、ゼネラリストを目指したいです。自分の強みでもある企業法務については、法務だけでなく経営全般のアドバイスをするコンサルタントの役割も担えればと考えています。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
弁護士に対する、「敷居が高い」というイメージは根強く、悩みがあっても、なかなか一歩踏み出して相談に行く勇気が出ない方もいるでしょう。ただ、相談のタイミングが遅くなると、解決の選択肢が減ってしまうこともあります。相談にいらした方の話をうかがう中で、「もっと早く相談に来てくれたら、選択肢が広がったのに」と思うケースはよくあります。
病気の早期発見・治療が重要なのと同じように、法律トラブルも早めに適切な対処をすることが肝心です。困ったことが起きたら、気軽に相談してください。知識と経験に基づき、あなたにとって最善の解決方法を提案させていただきます。