当事者全員とって最も平穏な形での解決へ〜依頼者との出会いを大切に、1件1件に全力で取り組む
放送業界から弁護士にキャリアチェンジ
ーー弁護士になる以前は、別の仕事をしていたとお聞きしました。弁護士に転身したきっかけを教えてください。
大学卒業後は商社に就職し、アジアや北米を中心とする貿易関係の仕事をしていました。その後は放送局に転職し、映画制作に携わりました。やりがいがあり充実していたのですが、あるときふと、「このままサラリーマンとして一生を終えていいのか」と迷いが生じたんです。
それから将来のキャリアについて真剣に考えるようになり、今後進みたい道として思い浮かんだのが、資格を取得し、専門職として仕事をすることでした。数ある資格の中でも、せっかく挑戦するなら最難関といわれる弁護士を目指そうと思い、今に至ります。
仕事と並行して司法試験の勉強を進めることは大変でしたが、「2年で合格する」と短期決戦型で計画を立てていたことがよかったのか、集中して勉強に取り組めました。
ーー弁護士としてのポリシーはありますか。
私が大切にしているのは、「いかなる状況でも、勝つことが全てとは考えない」ということです。それよりも、それぞれの事件が最も公正かつ適切な形で解決されることが最良だと信じています。
受任したからには、依頼者に満足してもらえる結果を出すために最大限の努力をします。しかし、こちらの利益ばかりを主張して、相手方の利益に一切配慮しなかったり、相手方が不利益を被るような結果になったりすることは避けたいと思っています。
私と相手方の弁護士との関係は、一見敵対的に見えるかもしれません。ですが、実は共に事件を解決に導くパートナーという面もあります。
勝ちにこだわる弁護士も確かに魅力的ですが、私自身は、依頼者も相手方も納得できる、最も平穏な形での解決を目指しています。
離婚問題に注力。相手方の話にも耳を傾け、双方にとって最善の解決を導く
ーー注力分野を教えてください。
離婚問題です。この分野の特徴の1つが、依頼者と相手方のどちらか一方だけが全て悪いというケースは少ないことです。
例えば、相手方の不貞行為を理由に離婚を争う場合。確かに不貞は悪いことですが、不貞をした側にも必ず言い分があります。その言い分を無視して一方的に相手の非を責めるだけでは、双方にとってのいい解決はできません。
なぜ不貞をしたのか、今後の夫婦関係についてどのように考えているのかーー。相手方の言い分に耳を傾け、理解した上で、依頼者も相手方も納得できる解決の形を探っていきます。
当事者の言い分を聞くことは、親権をめぐる争いにおいては特に重視しています。親権争いで最優先すべきは、子どもの利益となる解決です。どちらの親が親権者になれば子どもがより幸せに、健やかに生活できるのか、依頼者と相手方双方の思いや事情を踏まえて検討します。場合によっては、子ども本人に話を聞くこともあります。
ーー離婚について、知っておいた方がよい知識はありますか。
夫婦の財産に関する法律上の考え方です。意外と知らない方が多く、法律相談時に説明すると驚かれることがよくあります。
結婚している間に貯めた預金や、手に入れた不動産、車などの財産は、どちらか一方の名義になっている場合でも、夫婦が共同で所有する財産と考えます。そのため、離婚するときは、それらの財産を一定の割合(実務上は2分の1ずつとすることが多いです)で分けるよう、配偶者に要求することができます。これを財産分与といいます。
夫が稼いだお金で購入した家も、貯金も、車も、財産分与の対象となります。退職金についても同様です。配偶者がまだ働いていて退職金が支払われていなくても、将来支払われる予定の退職金を計算して、その一部を受け取れる可能性があります。
ーーたとえば、妻が専業主婦でも財産を分けてもらえるのですか。
はい。離婚する際の財産分与は、妻に収入があったかどうかに関係なく、基本的には夫婦で半分ずつ分けます。「夫が稼ぐための安定した生活を妻が支えたので、財産は夫婦が共同で築き上げたもの」という考え方に基づいています。
専業主婦の方にこのことを伝えると、「本当に財産を半分もらえるんですか?」と驚く方が多いです。財産分与について知らず、「離婚したら生活していけないから…」と不安に思って離婚に踏み切れない方は少なくありません。財産分与という権利があることを、ぜひ多くの方に知ってもらえればと思います。
こんな話をすると離婚を薦めているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。あくまでも離婚は最終手段と考えるべき、というのが私の意見です。
ご自身と配偶者にとって、お子さんがいる場合はその子にとって、離婚が最善の方法なのか、冷静に考える機会を持つことはとても重要だと思います。
弁護士に相談して初めてわかることもある。1人で悩まず、気軽に連絡を
ーープライベートについても伺います。ご趣味や休日の過ごし方を教えてください。
趣味は旅行です。仕事が立て込んでいる中でも、できるだけリフレッシュの時間をつくって妻との旅行を楽しんでいます。今は国内旅行が中心ですが、大学時代はヨーロッパ一周や中国一周の旅に出かけて世界中を巡っていました。
ーー今後の展望をお聞かせください。
弁護士が受けられる事件は、多くても年間50件ほどでしょう。現役で働ける残りの年数を考えると、あと何人くらいの方の依頼を受けられるかが見えてきます。
今後の弁護士人生で向き合える依頼者の数は限られています。だからこそ、私を信頼して事件を任せてくださった方々に「依頼してよかった」と思ってもらえるよう、1つ1つの案件に全力を尽くしたいです。
ーー最後に、法律トラブルを抱える方にメッセージをお願いします。
自分の悩みが法律トラブルかどうかわからず、弁護士への相談をためらっている方もいるでしょう。ご自身では判断が難しい場合もあると思うので、遠慮せず、弁護士に話してみてください。
専門家に相談することで初めてわかることは多いです。ご自身では「大した問題ではないだろう」と考えていることが、弁護士から見れば重大な法律問題かもしれません。先ほどの財産分与の話のように、知らずにいたら損をすることもあります。
弁護士費用について心配される方もいるかもしれませんが、相談だけなら無料の事務所もありますし、依頼する場合は事前に見積もりを提示してもらえます。分割払いに応じてもらえる場合もありますので、まずは気軽にご相談ください。