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キャバ嬢から旅行ドタキャンされた客パニック「10万払え、弁護士たてたぞ」
写真はイメージです(KAORU / PIXTA)

キャバ嬢から旅行ドタキャンされた客パニック「10万払え、弁護士たてたぞ」

お客様から旅行代金を請求された。払わないといけないのでしょうかーー。弁護士ドットコムに「キャバ嬢」からこんな相談が寄せられました。

相談内容によると、相談者の女性(キャバ嬢)は客に旅行に誘われ、旅行代金を支払ってもらいました。ところが、行けなくなったそうです。断ったら、客から10万円の旅行代金を払うよう要求され、払わないといけないのか困っているといいます。

しかも、相談者が支払わずにいると、客は「弁護士をたてた」と通告してきたそうです。相談者は支払う必要があるのでしょうか。中西祐一弁護士に聞きました。

●支払いに応じる必要なし

ーーそもそも相談者は客に10万円を支払う必要があるでしょうか

「相談者が客と旅行に行く義務を負うかどうかが問題となります。相談者が客に旅行代金を負担してもらうという点に注目すれば、『お金を負担してもらう代わりに客と一緒に旅行に行く義務』が発生するようにも思えます。しかし、こういった場合の旅行では、性交渉が伴うことが容易に想定されます。

とすると、相談者が客と旅行に行く法的義務を負う、ということになれば、『お金と引き換えに性交渉に応じる義務』を負わせることになってしまい、社会通念上、相当に問題があるのではないかと思われます。

したがって、相談者は、客と一緒に旅行に行く法的義務は負っておらず、旅行に行くことを断ったとしても、旅行代金を払う義務は負わないものと考えます」

ーー初めから旅行に行かないつもりだったのに約束をしていた場合はいかがでしょうか

「相談者が、初めから旅行に行くつもりがなかったにもかかわらず、旅行に行く約束をしていた場合は、客を騙して無駄なお金を払わせたことになるので、旅行代金を払わなければならないと考えられます」

●「内容証明郵便」が届くかどうか、待ってみる

ーーそれでは、客が「弁護士を立てた」と言ってきた場合はどう対応すべきでしょうか

「今回のような10万円を請求するような事案で弁護士に依頼をすることは、正直なところ、費用対効果の面で意味があるのか、という問題があります。実際には弁護士に依頼していない可能性もあると思われます。

本当に弁護士に依頼していれば、お金の支払いを請求する内容証明郵便等が届きます。本格的に対応をするのは、それからでも遅くないと思いますので、しばらくは、客が依頼した弁護士から請求が来るかどうか、様子を見ればよいのではないでしょうか」

ーー客の方が法的に救済されるハードルは高そうですね

「はい。今回の相談のような『約束』は、社会通念上、問題があるため、約束を破られたとしても、客が法的に救済を受けることは難しいことが多いと思われます。

特に、客が妻帯者の場合、この種の約束は『不倫をする約束』ということになり、公序良俗違反とされる可能性が極めて高いと思われます。この種の遊びは、自己責任で、と考えた方がよいでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

中西 祐一
中西 祐一(なかにし ゆういち)弁護士 中西祐一法律事務所
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。

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