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大家「風呂が汚いから部屋を見せてもらう」立ち入り強要に不満で転居、こんなのアリ?
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大家「風呂が汚いから部屋を見せてもらう」立ち入り強要に不満で転居、こんなのアリ?

大家が勝手に部屋への立ち入りを強要してきたー。そんな相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者によると、大家が相談者の家に立ち入った際、ガスコンロ周りや風呂が汚いと指摘を受けました。「今後引き続き住んでもらうためには、半年に1回は部屋を見せてもらうことが必須だ」と条件を出されたそうです。

結局、相談者は納得が行かずに転居を決めたそうです。このように、大家が立ち入りを強要することに法的な問題はないのでしょうか? 今回のように、「部屋が汚い」など契約者の側にも問題がある場合は、やむを得ないのでしょうか? 大家の立ち入りが認められるケースはそもそもあるのか、弁護士に聞きました。

●大家なら立ち入っても問題ない?

「建物の賃貸借契約では、賃貸人(大家)は、賃借人にその建物を使用させる義務を負います。逆に賃借人は、その建物を排他的に使用することができます。また、建物を住居として使用している場合などは、建物内に賃借人のプライバシーに関わるものが多数存在しています。 

ですから、大家であっても、貸している建物(部屋)に、賃借人の了解を得ずに立ち入ったり、立入りを強要したりすることは原則として認められません。賃貸借契約書に、『ある一定の場合(例えば賃料を滞納した場合など)に、賃貸人は賃借人の承諾を得ずに建物に入ることができる』などと記載してあっても、その条項は原則として無効と考えられます。

そして、大家の強制的な立入りが例外的に認められるのは、法的な手続きを取ることができない『緊急やむを得ない』特別の事情があったりする場合のみです(しかし、裁判で例外的に認められたケースは非常に少ないです)」

今回、相談を寄せた人の場合はどうだろうか。

「ご相談の『ガスコンロ周りや風呂が汚い』という事情は、法的手続きをとることができない『緊急やむを得ない』事情には該当しませんから、この大家が半年に1回部屋への立入りを強要することは違法と考えられ、賃借人(相談者)はそれを拒否することができます。

なお、賃借人が拒否したにもかかわらず、大家が賃借人に無断で部屋に立入った場合、賃借人から大家に対し、プライバシー侵害等による精神的苦痛を理由とする慰謝料の請求が認められると考えられます」

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