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朝日新聞「死刑廃止社説」に弁護士団体が猛反論「『ただ批判するだけ』なのは朝日」
高橋正人弁護士

朝日新聞「死刑廃止社説」に弁護士団体が猛反論「『ただ批判するだけ』なのは朝日」

日本弁護士連合会(日弁連)の死刑廃止宣言について肯定的に書いた朝日新聞の社説が、「誤った知識及び偏った正義感にもとづく一方的な主張」だとして、「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は10月19日、朝日新聞社に対して公開質問状を提出する。

同フォーラム事務局長の高橋正人弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し「朝日新聞は死刑廃止を当然の前提としているように見えます。あれを読んだ被害者や遺族がどんな気持ちになるかなんて、考えていないのではないでしょうか。被害者側としては、『何で私たちが死刑を望むようになってしまったのか』という心情を理解して欲しいのに、デリカシーがなさすぎます」と、批判した。

フォーラムが問題視しているのは、「死刑廃止宣言 日弁連が投じた一石」と題された、10月9日付朝刊の社説だ。この中で、朝日新聞は日弁連の死刑廃止宣言を「批判や反発、抵抗を覚悟のうえで、大きな一歩を踏みだした」と高く評価した。

一方、犯罪被害者支援に取り組んできた弁護士らに対しては、「宣言をただ批判するのではなく、被害者に寄り添い歩んできた経験をふまえ、いまの支援策に何が欠けているのか、死刑廃止をめざすのであれば、どんな手当てが必要なのかを提起し、議論を深める力になることだ」としていた。

●「被害者遺族の気持ちを考えなかったのか」

質問状では、この部分について、

・「ただ批判する」とは、犯罪被害者の支援に取り組む弁護士らが何ら根拠なく、感情的に反対しているとの趣旨か

・犯罪被害者の支援に取り組む弁護士らが、既に、被害者支援のため、現状や施策につき具体的提案をし続けていることを知っているのか

・(社説中の)「死刑廃止を目指すのであれば」とは、凶悪犯罪で家族を殺された被害者遺族や、それを支援する弁護士も、死刑廃止をめざすのが当然という趣旨か。そのような趣旨だとして、なぜ、被害者遺族や支援する弁護士も、死刑廃止を目指さなければならないのか。その理由は何か。

・被害者遺族も死刑廃止を目指すべきだと言われて、被害者遺族がどのような気持ちになるか、考えなかったのか

などと痛烈な批判を加えている。

「私たちは支援のあり方を散々提言して、被害者参加や損害賠償命令制度などを実現させてきました。朝日新聞はちゃんと取材したのでしょうか。『ただ批判するだけ』なのは、朝日新聞の方ではないでしょうか」(高橋弁護士)

質問状は、「(朝日新聞が)報道機関としての矜持を保ち、説明責任を果たし、被害者のために誠実に質問に答えて頂けることを期待します」と締めくくられている。

(弁護士ドットコムニュース)

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