何よりも「事実」を大切に、依頼者に真摯に耳を傾ける弁護士でありたい
1万3000人以上の被害者を生んだ食中毒事件 「被害者のためにできることは?」自問して弁護士を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
高校生の時に、1万3000人以上の被害者を出した食中毒事件「森永ヒ素ミルク中毒事件」のドキュメンタリーを見て、はじめて被害実態を知り衝撃を受けたことが最初のきっかけです。
被害者救済のために自分にできることはないのかと考えたときに浮かんだ選択肢が弁護士という職業でした。病気を治療するのが医師ならば、社会的病理を救済するのは弁護士ではないかと考えたんです。
大学卒業後に一旦就職しましたが弁護士になる夢を絶ちがたく、仕事を辞めて司法試験を受け直し、最終的に合格することができました。
ーー注力している分野を教えてください。
大阪で弁護士登録した縁で、労働事件を扱うようになりました。
大阪では、他の弁護士と一緒に過労死訴訟や労災事件に携わりました。先輩弁護士から色々学ばせてもらった経験は今につながっています。
労働事件以外では、離婚や相続など色々扱わせてもらっています。
どんな分野でも、研究と経験を積み重ねることで新しい発見があります。特定の分野に絞ることなく、依頼者の役に立ちたいと考えています。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
「事実から始まる」ということを念頭に置いています。事件に取り組むにあたっては、まず事実をしっかり把握することが重要です。そのためには、依頼者の話をよく聞く必要があります。
人の話を聞くというのは、簡単そうで実は難しいことだと思っています。話を遮ったり先を急いだりせずに依頼者の話を最後まで聞く。法律家にとってもっとも重要なのは話を聞くことであり、真剣に聞ける人が良い法律家だと思っています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードについて教えてください。
30年以上の弁護士歴の中で、大きな事件や難解な事件を数々経験してきました。その中でも特に印象深いのは、岡山県知事個人を訴えた住民訴訟です。
約25年前、倉敷市に「チボリ公園」というテーマパークが開園しました。運営会社は岡山県が出資する企業だったのですが、県はその運営会社に職員を派遣して、給与を支払っていたのです。
公共性のない事業に職員を派遣して公金を使うのは違法だとして、岡山県知事個人に対して損害賠償を請求し、地裁、高裁で損害賠償責任を認めてもらうことができました。
残念ながら最高裁で逆転敗訴になってしまったのですが、当時はまだ同様の判例が少なく、県知事個人を相手に勝った例はなかったため、2度勝てたことは大きなことを成し遂げた喜びがありました。
最終的に負けはしたものの、最高裁の法廷に立ったことや県知事個人を相手に勝利した経験は、弁護士を続ける上で貴重な財産になりました。
つらい気持ちを吐き出してほしい
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
趣味はテレビで映画を見たり海外サッカーを観戦する事です。海外リーグの中でも特にイギリスのプレミアリーグが好きです。イギリスの音楽も好きで、高校生の頃からローリング・ストーンズやクリームといったイギリスのロックを聴いていました。
休日は家事をすることが多いです。昔は休日に仕事をするのが嫌いだったのですが、最近は時間を有効活用するのには仕事をするのが良いと思うようになり、空いた時間に書類作成などをしています。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
これまで通り仕事が来れば相談に乗り、自分にできることであればお役に立ちたいと思っています。
幾つかの弁護団活動に関わっていますが、そうした弁護団で若い弁護士と一緒に活動し、これまで培ってきた経験や知識を伝えることができればと思っています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩みを一人で抱え込んでいても、良いことは何もないと思います。つらい気持ちを吐き出すことで楽になることもありますし、それを受け止めてくれるのが弁護士ではないかと思います。
一人で抱えこまずに相談してみてください。