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技能実習適正化法施行「人権侵害はなくならない、現場を見るべき」指宿弁護士が批判
指宿弁護士

技能実習適正化法施行「人権侵害はなくならない、現場を見るべき」指宿弁護士が批判

技能実習適正化法の施行に先立ち、過酷な労働環境におかれている外国人実習生の人権を守ろうと訴えるシンポジウムが10月31日、東京・永田町の参議院議員会館で開かれた。技能実習生の問題に取り組む指宿昭一弁護士は「(同法が施行されたとしても)実習生に対する人権侵害はなくならない。残念ながらそれ現実だ」と述べた。

技能実習制度は、発展途上国の外国人が日本で働きながら、その高い技術を学ぶという制度で、1993年にはじまった。これまでは、農業や製造業が対象だったが、11月1日に施行される新しい制度によって、介護分野にも適用されるようになる。

国際貢献がうたわれているが、実態は、技能実習生に対して、違法な長時間労働や賃金不払いなどが頻発しており、「現代の奴隷制度だ」という指摘もある。11月1日施行の法律は、受け入れ先の監督強化も盛り込まれているが、本来の目的が形骸化しているという批判の声があがっている。

指宿弁護士はシンポジウムで、かつて駆け出し時代に、岐阜県内で働いていた女性実習生たちの事件に取り組んだことを紹介した。指宿弁護士によると、一生懸命に解決にしようと頑張ったが、彼女たちは笑顔を見せてくれなかったという。

最終的に、未払い賃金の支払いで争いは解決。最後の打ち合わせで「日本人にもいい人がいるんだとわかって良かった」とようやく笑ったという。彼女たちの言葉は、指宿弁護士の胸に突き刺さっているそうだ。

指宿弁護士は「技能実習制度についての議論は、現場で何が起きているかしっかりと見据えて議論していかなければならない。現場から離れて、抽象的に『国際貢献』といってもまったく議論が噛み合わない。(人権侵害が起きない)制度がつくれるようたたかっていきたい」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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