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横断歩道上の事故で重傷を負い、併合9級の後遺障害を前提に5000万円で解決した事例
相談前の状況
依頼者は、横断歩道を歩行していたところ、自動車にはねられる交通事故に遭いました。
この事故により、骨盤骨折、肋骨骨折、胸骨骨折などの重傷を負い、複数の医療機関で入院及び通院による治療を受けました。
入院期間は約2か月半に及び、事故から症状固定まで約2年間にわたって治療が続きました。
治療終了後も、股関節の可動域制限、骨盤周囲の痛み、下肢の痛みやしびれ、大腿部のしびれなどの症状が残りました。
また、下肢が1センチメートル以上短くなったことで左右の歩行バランスが崩れ、走ることや階段の昇降、長時間の歩行が困難になりました。
後遺障害については、股関節の機能障害について10級11号、下肢の短縮障害について13級8号が認定され、併合9級となりました。
その後、保険会社から、損害賠償額として約3900万円の提示を受けました。
しかし、後遺障害逸失利益については、併合9級ではなく、10級相当の労働能力喪失率を前提として算定されていました。
依頼者は、後遺障害による仕事上及び日常生活上の支障が十分に評価されていないのではないかと考え、保険会社の提示内容が妥当であるか確認するため、ご相談くださいました。
解決への流れ
ご依頼を受けた後、後遺障害の内容、依頼者の職務内容、仕事上及び日常生活上の支障を詳しく確認し、保険会社の提示内容を精査しました。
本件で大きな争点となったのは、後遺障害逸失利益を算定する際の労働能力喪失率でした。
依頼者の仕事はデスクワークが中心でしたが、国内外の事業所やグループ会社へ頻繁に出張する必要がありました。
しかし、事故後は、長距離の歩行や階段の昇降が困難になったため、遠方への出張を減らさざるを得なくなりました。
また、タクシーによる移動を特別に認めてもらい、時間に余裕を持ったスケジュールを組んでもらうなど、勤務先の配慮を受けながら、何とか仕事を継続している状況でした。
そこで、事故後も勤務を継続し、直ちに大幅な減収が生じていないことだけを理由として、労働能力への影響を10級相当に限定して評価するのは相当でないと主張しました。
具体的には、股関節の機能障害と下肢の短縮障害により、走ることや階段の昇降、長時間の歩行が困難になったこと、正しい姿勢を維持するために常に意識して歩く必要があり、疲労しやすくなったことを詳細に説明しました。
また、出張の制限、タクシーの利用、勤務先によるスケジュール上の配慮など、仕事上及び日常生活上の具体的な支障を整理しました。
さらに、下肢の機能障害と短縮障害が併存する類似の裁判例を示し、本件では、併合9級に対応する労働能力喪失率を前提として逸失利益を算定すべきであると交渉しました。
そのほか、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、装具費などについても、関係資料を精査し、適正な金額を算定したうえで増額を求めました。
その結果、訴訟を提起することなく、保健会社を説得することに成功し、最終的に5000万円の損害賠償金を受け取る内容で示談が成立しました。
國田 修平 弁護士からのコメント
後遺障害等級が併合9級と認定されていても、保険会社が逸失利益を算定する際、当然に9級相当の労働能力喪失率を採用するとは限りません。
特に、下肢の短縮障害については、短縮した長さによって後遺障害等級が認定される一方で、保険会社からは、補高靴やインソールによって一定程度補うことができる、デスクワークへの影響は限定的である、現実の減収が生じていないなどとして、労働能力への影響を低く評価されることがあります。
また、股関節の機能障害と下肢の短縮障害が併存し、併合等級が認定されていても、保険会社側が、それぞれの障害による支障が重なっているなどと主張し、併合等級に対応する労働能力喪失率をそのまま認めないこともあります。
そのため、下肢短縮による逸失利益を適切に評価してもらうためには、脚長差が歩行姿勢や身体のバランスに与える影響、疲労の程度、補装具の使用状況、仕事や日常生活に生じている具体的な支障を丁寧に示すことが重要です。
さらに、被害者が事故後も勤務を継続している場合や、直ちに収入が減少していない場合には、後遺障害による労働能力への影響を低く評価される傾向があります。
しかし、収入の減少が表面化していない背景に、依頼者自身の努力、勤務先の配慮、同僚の協力などがある場合、それらを無視して逸失利益を限定的に評価することは適切ではありません。
本件では、保険会社が実質的に10級相当の労働能力喪失率を前提としていたのに対し、股関節の機能障害と下肢の短縮障害が併存していることに加え、脚長差によって歩行バランスが崩れ、長時間の歩行や階段の昇降が困難になっていることなどを具体的に整理しました。
そのうえで、下肢の機能障害と短縮障害が併存する類似の裁判例を示し、併合9級に対応する評価を求めて交渉した結果、訴訟を提起することなく、5000万円で解決することができました。
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