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「私たちの一生が閉じ込められてしまう」マイナンバー違憲訴訟、原告が怒りあらわ
会見に出席した原告の奥山妙子さんと水永誠二弁護士

「私たちの一生が閉じ込められてしまう」マイナンバー違憲訴訟、原告が怒りあらわ

マイナンバー制度の運用は、憲法で保障されたプライバシー権などを侵害するとして、市民30人が12月1日、マイナンバーの削除や慰謝料などを求めて、東京地裁に提訴した。この日、全国の弁護士や市民でつくるグループによって、東京以外にも、仙台、新潟、金沢、大阪の4つの地方裁判所で、一斉に訴訟が起こされた。

提訴後、東京・霞ヶ関の司法記者クラブで開かれた記者会見で、原告側代理人の「マイナンバー違憲訴訟・東京弁護団」の水永誠二弁護士は、「マイナンバー制度によってプライバシーが丸裸にされ、監視国家化する危険性がある」と述べた。

●「個人情報漏えいの危険性が高い」と弁護士

2016年1月に運用が始まるマイナンバー制度は、社会保障や税などの情報を、国民1人1人に割り振った番号で管理する。所得や納税実績といった情報を効率よく管理するなどの狙いがあるが、弁護団は個人情報漏えいの危険性などを問題にしている。

また、訴状によると、原告は、マイナンバー制度は個人の情報を本人の同意なく集める制度で、憲法13条で保障されたプライバシー権などを侵害しているとも主張。国に対して、原告のマイナンバーの利用や保存などの差し止めと削除を求めるとともに、1人あたり11万円の慰謝料を支払うよう請求している。

水永弁護士は会見で、「マイナンバーを行政だけではなく民間でも利用すると、絶対にずさんな使い方をするところが出てくる。セキュリティの均一性が守れず、個人情報漏えいの危険性が高い」と指摘。

さらに、原告の中には性同一性障害の人が入っていることをあげ、「通知カードや個人番号カードには戸籍上の性が明記されている。雇用主などに対して、心の性とは違う性の開示を強制されることとなり、人格権を侵害される」とも話した。

原告の1人で、東京・杉並区の前区議会議員の奥山妙子さんは、会見で提訴理由を語った。

「なんといっても番号をふられることが気分悪い。書留をいくら受け取り拒否しても、番号は返上できず、不服審査することもできない。この怒りは、どう説明してもしきれないほど腹立たしく、原告に加わった。

恐ろしいのは、病歴や学歴、職歴も、この番号をキーに蓄積されていくこと。マイナンバーという、私が頼んだのでもない番号に、私たちの一生が閉じ込められてしまう。その情報を、当局がひもづけをして見ることができ、提供することを拒否できない。恐ろしい社会が待っていると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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