中野 利大 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
一言でいえば、社会の役に立つ仕事がしたいという思いから弁護士になりました。
私は、弁護士になる前、機械技師として働いていました。バブルがはじけた時期を経験したことで、手に職をつけておきたいという思いがあったことや、次々と新しい電子機器が登場する様子を見て、これからはITの時代だという意識もあったため、高校卒業後情報処理の専門学校に進学したのです。
専門学校卒業後は、地方で技師として勤務していたのですが、その頃に、いわゆるキャッチセールスの被害に遭い、100万円以上の負債を抱えることになりました。
このときに、法律を知らないととんでもないことになるということを思い知り、同時に、騙されているかもしれないという疑いの意識が全くなかった、無防備な自分が怖くなりました。この苦い経験がきっかけとなって法律を勉強しようと決心しましたが、最初は弁護士を目指す、というよりは、「二度とだまされないぞ」と、自分の身を守るために勉強をしていたように思います。
ところが、実際に勉強していくうちにその奥深さに魅了され、次第に「法律を使って人の役に立ちたい」と思うようになり、行政書士、司法書士の資格を取得しました。
司法書士として6年ほど務めましたが、やはり司法書士が法律を扱うには様々な面で制約を感じることが多く、本格的に法曹になろうと弁護士を目指しました。
これまでの業務内容
弁護士になる前は、機械技師、生命保険の営業を経て、司法書士をしていました。特に、司法書士をしていたころは、日中は仕事、夜は大学、そして休日に司法試験の勉強をしていたので、自分でいうのも変ですが、当時はものすごいバイタリティがあったと思います。
現在は弁護士として仕事をしていますが、その中でも今までの仕事の経験が活かされていると感じる場面は多々あります。機械技師時代の、トラブルの発生原因を理論的に考える経験は、弁護士が弁論を組み立てる作業に通ずる部分がありますし、営業で身に着けたコミュニケーション能力は、今でも依頼者の方と信頼関係構築の際の基盤になっています。
弁護士業務の内容としては、一般的な事件全般を扱っていますが、一番多いのは未だに借金問題で、次いで交通事故、刑事事件に関するものが主となっています。これらの相談や裁判手続に加え、広報活動の一環としてテレビやラジオなどのメディアへ出演させていただいています。
弁護士としての信条・ポリシー
相談者の話をきちんと聞くということです。「専門家に相談したけどろくに話を聞いてもらえず、がっかりした」という話を聞くことがしばしばありますが、そのような対応では、一大決心をして来られた依頼者の方に失礼です。
たとえ、弁護士の目から見て法的な解決が困難なケースであっても、まずは「弁護士に自分の言い分をきちんと聞いてもらえる」という場をつくることが大切です。その上で法的構成が難しいと説明されれば、仕方がないと納得される方もたくさんいらっしゃいます。
短い時間で依頼者の方と打ち解け、胸のうちを話していただけるような関係を築くのは確かに難しいことではありますが、我々の仕事の第一歩は、話を聞くことから始まりますので、じっくりと話を伺うように心がけています。
また、我々の発する言葉は、一般の方よりも重く受け取られるので、その点は気をつけています。依頼者の方は私たち弁護士の言葉を頼りにしておられるので、言い方ひとつでその人の人生を左右すると言っても過言ではありません。自分の言葉に責任を持つことを常に意識しています。
関心のある分野
私自身が消費者事件に巻き込まれたという経験もあって、借金問題を含む消費者問題、貧困に関する問題に関心があります。あまり意識されないかもしれませんが、お金の問題は人の生死に直結します。
以前、借金を苦に、若い夫婦が幼い子ども2人とともに命を絶ったというニュースを聞いたことがあり、衝撃を受けました。この家族のことを思うと今でも胸が張り裂けそうになります。
最悪の決断をする前に、なぜ弁護士に相談してくれなかったのかと憤りを覚えるとともに、我々の側にも問題があったと感じています。弁護士のメディア出演が増えたことで多少は良くなったのでしょうが、未だに「弁護士は敷居が高い」という意識が根付いているようで、相談者の方から「相談に来る決心をするのに時間がかかった」「こんなこと弁護士に相談していいのか心配だった」という声をよく聞きます。
消費者、貧困問題が無くならないのは、弁護士に気軽に相談できないことにも原因があるのではないでしょうか。弁護士の側からもっと相談者の方へ歩み寄っていくことが必要だと思います。
あの家族も、もし事前に弁護士に相談できていたら、と思うと残念でなりません。このような悲劇を少しでもなくすために微力を尽くしていきたいと思っています。