年末年始は帰省をしたいのに、バイト先のスーパーから勤務条件を突きつけられてしまったーー。困惑する大学生がネットのQ&Aサイトに相談を寄せていた。
投稿は今年11月中旬のものだ。採用面接時には年末年始勤務が可能かどうか質問されなかったが、12月のシフト提出の際に、
・12月30日、31日は希望休が出せない
・1月1日〜3日の間、希望休は1日のみ
・12月23日〜25日の間は連続休不可
という条件を提示され、年末年始に帰省することが困難になってしまったという。
相談者は「(帰省を)認めてもらえなかったら私はこのバイトを辞めたいと思っています」と打ち明けているが、スーパーがこのような条件を突きつけることに法的な問題はないのか。労働問題にくわしい波多野進弁護士に聞いた。
(10時40分追記:投稿に記載されていた「採用面接時には年末年始勤務が可能かどうか質問されなかったが」の文言を加えました)
●一方的な条件突きつけは問題あり
「通常の会社なら、年末年始が休日になっていることが多いと思いますが、スーパーやコンビニ、デパートなど年末年始に営業することが前提となっている業態もありますよね。そのような職場では、アルバイトの休み希望を使用者が拒否できる場合があります」
どのような場合に休み希望を拒否できるのか。
「労働契約の内容がどうなっているかがまず問題になるでしょう。使用者が休み希望を拒否できるのは、労働契約や、アルバイトに対して拘束力がある『就業規則』の中に、会社がアルバイトに対して特定の日に業務に就くよう命令できる根拠がある場合です。
その場合、使用者がアルバイトに年末年始にシフトに入るようを求めることは、形式的には許されると思います。
ただ、いくら形式的な根拠があるとしても、シフト制を採用している場合、アルバイトの予定や希望を聞きながら弾力的にシフトを組むのが一般的でしょう」
今回のように、条件を一方的に突きつける形も問題はないのか。
「問題があると思います。労使慣行としてもシフト制の場合、各労働者の希望を聞きながら調整するという労使慣行があることが多いと思いますが、そのような慣行があるのにそれを無視することは許されないと言えます。
また、このような誰もが休みたい、休まざるを得ない時期については、例えば、相当な優遇措置を設定するなどして、このような時期に人が自主的に手を上げてシフトにはいることを誘導するなどの使用者側でできる対応策もあると思います」
ただ、年末年始は特に忙しいので、使用者としてもシフトを組むのは大変ではないか。
「多くの場合、年末年始に営業する職場は人のやりくりが大変です。ただ、通常は、アルバイトの予定や希望を聞きつつシフトを調整しますよね。
そのような努力や調整をせずに、使用者側が一方的にアルバイトに押しつけることは非常に問題があります。
やはり、労働者と使用者の関係は、継続的な信頼関係を基礎にしたものですから、使用者が労働者の希望を聞いたり、シフトの調整といった基本的な手順を踏まないことは妥当ではありません。業務命令権の濫用として許されない可能性があると思います」